子宮筋腫は子宮にできる良性の腫瘍で、30歳以上の3割前後にできるといわれ、女性ホルモンの影響で子宮筋腫が大きくなり、閉経で小さくなります。
子宮筋腫は、できた場所により、子宮の内側の「粘膜下筋腫」、子宮の筋肉の中の「筋層内筋腫」、子宮の外側の「漿膜下筋腫」に分類され、筋腫の数や大きさはさまざまで、筋腫の上には着床しにくいので不妊や流産の原因にもなります。
主な症状は、過多月経、それに伴う鉄欠乏性貧血、月経痛（月経困難症）や腰痛、頻尿、不妊症などがあります。また、子宮の内側にできた粘膜下筋腫は、小さくても症状が強く、子宮の外側にできた漿膜下筋腫は、大きくても症状は出にくく、気がつかないこともあります。
漢方における子宮筋腫の治し方
漢方では、子宮筋腫は、血流が悪い「瘀血」と考えます。
長期にわたって「血」の巡りが悪いことによって、しこり（筋腫）ができるのです。
『婦人は「血」を本とする』といって婦人科系の不調は、「血」の状態と深く関係があり、
「瘀血」は、「血」の巡りを整えることが大切です。
漢方で「瘀血」を起こす体質の改善、筋腫の再発予防、筋腫の増大を抑えることが期待できます。
しかし、子宮筋腫の大きさや症状によっては手術も考えた方がよいことがあります。
西洋医学と漢方を組み合わせて適切に対処しましょう。
瘀血の主な症状
- 生理前、生理中の下腹部の痛みと張り
- 月経血が暗い、レバー状の塊がある、経血が粘る
- 顔色のくすみ、しみが多い
- 肩こり、頭痛、静脈瘤
- 舌の色が暗く、瘀点、瘀斑がある
- 舌下静脈が膨れている
あなたの「瘀血」の原因は？
〈気、血の流れが悪い「気滞血瘀（きたいけつお）」タイプ〉
ストレス・緊張の継続が「気」、「血」の流れの停滞を招きます。
主な症状
- 生理前、生理中の下腹部の張り、痛み、胸の両脇の張り、痛み、情緒の変動によって、痛みが変化する
- 生理前に特に多くの症状（イライラ・便秘・頭痛など）が出る
- 月経血が暗い、血塊がある
- 憂うつ感、肩こり、緊張しやすい、のどのつまり感
対策方法
「気」は「血」と一緒に体内をめぐり、血の流れを助けます。「気」の流れが停滞すると「血」の流れも停滞し、「瘀血」となります。
血液の貯蔵庫といわれる五臓の「肝（かん）」は、女性に関わりの深い臓器です。
この「肝」は情緒を安定させる働きを持つため、ストレスの影響を受けやすいことが特徴です。
強いストレスを受けると流れを調節する「肝」の機能が低下してしまうので、ストレスを溜めずに発散しましょう。
「気」の詰まりを動かして、流れを良くするような「理気薬（りきやく）」を用います。
〈冷えが原因「寒邪（かんじゃ）」タイプ〉
体が冷えると「血」の流れが悪くなり、体のすみずみまで「血」が届かなくなり、さらに手足の冷えなどの冷えを招きます。
主な症状
- 生理前、生理前半の痛みが強くなりやすい、月経血が暗い、血塊が黒っぽい
- 肩こり、頭痛、関節痛などの痛み
- 温めると楽になる、手足の冷え、顔色が白い
対策方法
「血」は冷えると固まり、温めると流れやすくなるという特徴があります。
そのためクーラーや薄着で冷える、冬の寒さで冷える、冷たいものの摂りすぎ、特に生理中に冷やすと血流が悪化して「瘀血」となり、生理痛の原因になります。
ゆっくり入浴して、よく体を温める、温かいものを摂るなど、体を冷やさないように気を付けましょう。
また、「気」、「血」の流れの滞りや冷え以外でも、体調不良やダイエットなどで、体内の「気」、「血」の不足による血流の滞りで「瘀血」が生じ、子宮筋腫になることもあります。
「気」が不足すると血管を丈夫にして体を守る力が足りず、血管から「血」が漏れやすくなり、子宮筋腫が原因で増えた月経量がさらに増加するかもしれません。生理痛が生理の後半に多い、月経血の色が薄いことも特徴です。
食事や睡眠をしっかりとり、不足しがちな「気」、「血」を補いましょう。
～お話をお伺いし、症状や体質に合わせて、お薬や養生法などをご提案いたします～