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漢方の人間国宝にお会いして。
ウエマツ薬局 国際中医師の植松光子です。
先週、中国北京で 漢方の人間国宝、
95歳の現役の漢方医、路志正先生にお会いしてきました。
70代に見えるくらいお元気で、いまでも毎日古典の勉強をしていらっしゃるそうです。
驚いたことに名刺をお渡ししたところ
「植松」という苗字を見て
「北京中医薬大学日本校の理事長の植松と関係があるのか」
と言う意味の質問をされました。
夫もお会いしたことがないのに、
見ず知らずの外国人の家族の名前まで憶えていてくださってびっくりしました。
そして紙に
「植松理事長は日本の漢方の発展に素晴らしい努力をしている」
という意味の中国語を書いてくださり、私たち夫婦の何よりの励ましとお土産になりました。
私も路先生くらいの年になるまで働けそうな希望が湧いてきました。
目標を持つと長生きできそうです。
皆さんの目標はなんですか?
(写真:路志正先生と)
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テレビに疑問「アトピーに効く漢方」
「漢方って本当に効くの?」
2014年7月1日にテレビ朝日で放映された「林修の今でしょ!講座」
『東洋医学VS西洋医学 日本人が悩む8つの病気と 症状を解決!3時間SP』は、なかなか面白い番組でした。
「アトピーに漢方は効く!!」このタイトルはぴったり合って、見事に言い切ってくださって拍手!!でした。
しかし、そのあとがいけない。
アトピーには「温清飲(うんせいいん)」ですべてのアトピーがよくなるような言い方は危険です。
アトピーはそんなに簡単な病気ではありません。
特にこの番組を見て多くの医師、薬剤師、患者さんたちが「温清飲」だけをファーストチョイスに使って、逆に悪化するのが心配です。
何故なら「温清飲」は字のとおり、「温めて冷ます」処方ですから、
体に熱がこもって真っ赤な顔や肌をしている人はすぐさらに真っ赤に悪化します。
またじくじく汁が出ている人には全く効きません。
この処方は「四物湯」という血を増やし、血行をよくする、主に女性の冷えや生理痛に効くものと「黄連解毒湯(おうれんげどくとう)」という熱を取って赤み、炎症をとる二つの処方が2対1の割合で入っています。
ですから処方全体としては温めます。
どのような人によいか、といいますと慢性で肌は黒っぽく、汚いがさがさした乾燥肌に適しています。
ちょうど海へ行って真っ赤に日焼けした肌が秋になって薄黒く、乾燥した時の肌を思い浮かべてください。
これと同じで状態です。
真っ赤に日焼けした時はどうしますか?
まず水で冷やしますよね。
このときお湯で温めたらどうなりますか?かえって痛みが増すでしょう。
アトピーも真っ赤な時は冷やす漢方を用います。
じくじくしているときは汁を取る漢方薬を用います。
そうして赤み、汁がなくなり、がさがさした薄黒い肌になった時初めて「温清飲」を用いますと、肌がきれいになってきます。
しかし黄連解毒湯が入っているので長く飲むと乾燥させますので、あかみがおさまってきたら、別の処方に変えていきます。
このようにその時に適した漢方薬を使うことが大事です。
詳しい治し方は拙著「アトピーは中医学と薬膳で治す」<二見書房>に載っています。
アトピーは非常に複雑な病気です。
漢方医や漢方薬剤師でもアトピーを専門にやっている方によく相談してください。
2014年7月31日 薬剤師 中国政府認定国際中医師 植松 光子
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健康を支える3本柱
中医学(漢方)では、健康な体を支える3本柱を「気・血・水」と考えております。
「気」は目に見えない生命の基本エネルギー。元気・やる気・気力と云うように、体全体を動かすおおもとの力です。
「血」は体全体に酸素・栄養・ホルモンなどを運ぶ働きをするもの。
「水」は体中の細胞や組織を潤す水分の総称です。
この「気血水」がバランスよくスムースに流れている体は健康ですが、バランスが乱れると、
生活習慣病・婦人病・アレルギーなどの病気を引き起こす原因になります。
中医学では、「よくその人を見て・よく話を聞いて・舌を見る」ことにより、
気血水のバランス状態を総合的に把握して、その人に合った食生活と漢方薬のアドバイスを致します。
自分の悩み・症状を遠慮せずに相談することは早い治療に結びつきます。
文責 北京中医薬大学日本校理事長 ウエマツ薬局 植松 捷之
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中国の高名な生殖医療センターで研修してきました
この10月中旬、中国四川省の成都(せいと)中医薬大学付属病院の生殖医療センターで研修をしてきました。
ここの院長の女性の陸先生は、中国でも有名な不妊症治療の大家ということで、
ふつうは研修など出来ない、ということでした。
しかし私たち日本中医薬研究会の不妊専門部会のメンバーは日本でも有数なよく勉強をしている会、
ということで特別研修をさせてくださいました。
ここでは西洋医学と中医学(漢方)両方を使って妊娠させるので、非常に妊娠率が高いということでした。
講演で印象的だったのは卵管が詰まる人は西洋医学では卵管を取ってしまいますが、
中医学では詰まりやすい体質を治す、ということでした。
流産しやすいひとも流産しやすい体質を治して予防します。
男性不妊については副院長の男性の常先生がとてもよい話をしてくださいました。
男性はEDなど深刻な問題を抱えている御夫婦も少なくありません。
しかし漢方薬はよい薬があるので、改善して赤ちゃんをさずかってお礼に見える方もいます。
「中医学は幸福学です」とおっしゃいました。患者さんも幸せにするし、患者さんが幸せになれば私たち医療者も幸せになります。
私も遠い四川省まで行ったかいがありました。
写真:四川生殖衛生医院で研修
帰りは世界遺産の九寨溝(きゅうさいこう)へ行ってきました。
海抜3700mなので高山病を心配しましたが、心肺機能を丈夫にする漢方薬を
しっかり飲んで行きましたので、高山病には全くならず、元気に行ってこれました。
湖底の落ち葉一枚一枚がはっきり分かるほど碧く透き通り、心が清められる思いでした。
写真:九寨溝