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慢性中耳炎の耳垂れが再発しなくなりました
現在80歳 来店当時は45歳の男性です。
若い時からの慢性中耳炎で最近耳垂れが出てきました。
茶色でジクジクして悪臭がし、疲れたり、寝不足があったりすると悪化します。
両方の耳は難聴です。
漢方薬の煎じ薬を飲んでいたら、ほとんど耳垂れが出なくなりました。
しかしエキス剤に変えたらまた出始めたので、それ以来ずっと煎じ薬です。
すっかりよくなり、本人が漢方薬をやめたい、とおっしゃるので止めることにしましたら奥さまから
「夫は漢方薬を飲むようになったら、怒らなくなったので続けるように言ってください」
という電話があり、それ以来ずっと漢方煎じ薬を飲んでいます。
それから35年経ちました。
時々漢方薬を飲み忘れると耳垂れが出ます。
今は1袋を2日で飲んでいます。
また血圧が上がったり、前立腺肥大になったり、夜間尿が増えたり、と言った症状がでると
そのたび漢方薬を変えたりしながらお飲みになっています。
いまだに2か月一回お店にお買いに見えます。
夫婦円満で老後を心豊かに健康にお過ごしになっているようです。
何故耳垂れの漢方薬で怒らなくなるのでしょう。
身体には経絡という気血が流れる見えない道があります。
耳は「肝」の経絡で「肝」は気血の流れも調節します。
ですから耳の病気を治す漢方薬は気血の流れも良くするので「気」気分も良くし、穏やかにしてくれるのです。
漢方って面白いですね。
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腸に爽やか「ルバーブ」ジャム作り方
以前中国へ漢方の研修に行ったときに面白いお菓子を見つけました。
日本語にすれば「長生きせんべい」
何と便通をよくする漢方薬、大黄の粉末が入ったクッキーでした。
これはいい!!! 思わず手を打ちたくなりました。
便秘に悩んでいる人たちが美味しく食べながら便通がよくなる!!
日本にもこんなものがあるといいな、と思っていましたらありました。
今回紹介する腸に爽やか「ルバーブ」ジャムです。
先日行ったお蕎麦屋さんでこの植物「ルバーブ」を売っており、早速作ってみたのが写真のジャムです。
タデ科の植物ルバーブは漢方の便秘薬大黄と同じ仲間で赤い色の茎を使います。
食物繊維が多いので腸の働きを助けます。
爽やかな味で、心も体も爽やかになりそうです。
《材料》
ルバーブの茎500g
あればレモン1個
砂糖(材料の80%)400g
※ここではキビ砂糖を使いました。
サトウキビには天然のオリゴ糖やビタミン、ミネラルが豊富に含まれ、
ほとんどの料理に精製砂糖の代わりに使えます。
《作り方》
ルバーブの茎を1cmくらいに細かく切り、水にさらす。
砂糖を入れてしばらく置き、なじんで水分が出てきたら火にかける。
中火で沸騰したら弱火にトロトロになるまで煮詰める。
へらで「い」の字を書いて底が見えるようになったら、レモン汁を絞って入れ、火を止める。
形が残っていたら、へらでよくつぶして出来上がり。
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80歳、現役漢方薬剤師から皆様へ
21日は今期最後の「漢方養生教室」
そして植松が80歳を迎えた、ということで受講生の皆さんから真っ赤な花束をいただきました。
赤が私の雰囲気に合う、ということでとってもうれしく、元気を頂きました。
80年いろいろありました。
現在、夫は私が仕事に行った日や、外出した日の食事は作ってくれています。
できたてが食べられるよう、玄関を開けるやいなや温めはじめ、
椅子に座ると同時にお盆に載せた食事がでてきます。
今が人生で一番幸せで静かな時かもしれません。
結婚したときは25歳同士。貯金は全くありませんでした。
昭和38年ごろ、4年生の大学へいく女性はほとんどありませんでした。
私が薬学部に行く時には、「結婚の支度は自分で全部するから、大学へ行かせて」と両親に頼みこんで行きました。
名古屋で結婚した冬は毎日雪がふりました。
湯沸かし器を買えないので、茶碗を洗う時、「冷たい、冷たい」という私に夫がやかんで湯を沸かして洗い物にかけてくれました。
「寒い、寒い」と言っていましたら夫が外へ飛び出していき、電気ストーブを抱えて帰ってきました。
お金がないので「パチンコで取ってきた」というのです。
長女を生んで直に二女を妊娠し、臨月で出産のため実家に帰る時
「病院に払うお金ある?」
と聞いたら夫は
「大丈夫、お前がいないから食費が浮く」
と言いました。
二女を生んで赤ちゃんの顔に見に来た夫に
「お金もってきた?」と聞くと
「お前がいないから飲んじゃった」
二女を生んで2か月目、私は薬局で働くことにしました。
保育園に入れないので、2歳の長女は職場へ連れていき、二女は保育ママさんに預けました。
職場までは自転車が必要となりましたが、買うお金がありません。
勤める前から自転車代を前借りしました。
それから55年私の共働きの人生が始まったのです。
ところが48歳の時、当然夫が会社を辞めたのです。
考えた結果、彼は3年間漢方を学びに学校へ行き始めました。
私も必死に働きました。
その後私も長女とともに理想の薬局を立ち上げました。
しかしその後も山あり、谷あり。
詳しくはブログ「婚活妊活ビンボーは怖くない」
「ある若い女性薬剤師の物語」ぜひお読みください
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「体の内側から根本的な体質改善」薬学部実習生感想文・96
ウエマツ薬局に実習に来られた、薬学部5年生の感想文をご紹介します。
*漢方に今まで興味を持っていましたか?
はい。自分でも漢方薬を使用することがあったため。
大学で学んだ生薬学を通して関心があったため。
*実際に今回体験して感じたこと。また、将来漢方の仕事をやってみたいと思いましたか?
今回の実習で印象に残ったことは治療を行ううえで体の内側から根本的な体質改善を行うことです。
一般的な病院では病気の症状を改善することが中心ですが、漢方薬局では症状の改善に加え、継続的に食事や生活習慣、日々の体調変化に合わせた漢方薬の使用により体質から改善するという考え方であることが分かりました。
患者さんの問診や舌診の様子を見学させていただきましたが、患者さんの話から気血水のどこが不足又は滞っているのかを考え、漢方薬を選択する流れを拝見しました。
まず、疾患名ではなく、体の不調について考えることで個人に合った薬の選択が行えると分かりました。
さらに、患者さんにとっても体の中に何が不足した状態でこういった症状を引き起こして、何を補うために薬を使用するという納得した理由をもとに薬を処方されることで健康面的にも気を遣っている患者さんが多いように感じました。
実際の患者さんでかなり重症であった方も症状が改善していて、日々の日常生活から気を遣うことや漢方による体質改善の奥深さを学びました。
薬膳、食事指導では中医学の考え方で食事も薬となる考え方があり、体質や体調に合わせてバランスよく食事をすることで体の調子を整えられることを学びました。
調剤ではそれぞれの生薬を調合して1つの漢方薬の作製や煎じ薬の一包化調剤を行い、オーダーメイド医療の良さを実感しました。
2024年7月12日 日本薬科大学薬学部薬学科 M.S