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耳鳴り・難聴対策3(痰湿タイプ)
《むくみやすい痰湿》
*肥満、高脂血症、メニエール症候群などの人はこのタイプを参考に。
身体の水分代謝が悪くなると、体内に「痰湿(余分な水分や汚れ)」が
溜まりがちになります。
すると、粘りのある痰湿(たんしつ)が耳にも停滞し、
閉塞感(詰まっている感じ)や耳鳴りなどの不調が起こりやすくなるのです。
このタイプは、まず身体に溜まった痰湿を取り除き、
水分代謝を良くすることが大切です。
そのためにも、暴飲暴食、脂っこい食事といった食生活を見直し、
胃腸の働きを良くするように心がけましょう。
*主な症状
耳の症状:耳鳴り、耳塞感(詰まっている感じ)、回転性のめまい
その他の症状:胃のムカつき、食欲不振、むくみやすい、太り気味
*食養生
~溜まった痰湿をすっきり取り除く
はと麦・どくだみ茶・冬瓜・きゅうり・れんこん
緑豆・春雨・ハスの葉茶・菖蒲茶・決明子 など
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耳鳴り・難聴対策2(肝うつタイプ)
《ストレス過多の肝うつ》
*更年期、高血圧などの人はこのタイプを参考に。
耳は清らかな「陽気(身体を温めるエネルギー)」の通り穴。
そのため陽気が十分にあり、スムーズに流れていれば、
耳は健やかな状態を保てます。
ところが、過度なストレスを受けると、体内の気の巡りが停滞し、
耳を流れる陽気もつまりがちになってしまいます。
その結果、耳鳴りなどの不調が起こりやすくなるのです。
このタイプの耳鳴りは突発的に起こる初期症状で、
キーンという高音が特徴です。
ストレスを発散させる「肝」を健やかに整え、
早めに対処し、慢性化を防ぎましょう。
*主な症状
耳の症状:キーンという高音の強い耳鳴り、ストレスを感じると重くなる
その他の症状:偏頭痛、不安、イライラ、怒りっぽい、口の渇き
*食養生
~ストレスを発散させて、気の巡りを良く
菊花・柿の葉・緑茶・マイカイカ茶・セロリ・ジャスミン茶・ミント など
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耳鳴り・難聴対策1
キーンという高音や、ジーと蝉の鳴くような音、
こうした実際にはない音を耳の中に感じる状態が耳鳴りです。
誰にでも起こる身近な症状です。
耳鳴りの主な原因は、耳の奥にある蝸牛の異常と考えられています。
ただ、そのメカニズムはまだ解明されていない部分も多く、
西洋医学では、薬で一時的に症状を抑えるなどの対処療法を取ることが一般的です。
一方、中医学では、耳の不調も身体全体のバランスが崩れたことで
起こると考えています。そのため、原因となっている身体の不調を改善し、
身体全体を耳鳴りの起こりにくい健やかな体質に整えることに重点を置いて対処します。
耳鳴りの主な要因となるのは、「陽気(身体を温めるエネルギー)」の不足や停滞などです。
他にも、胃腸虚弱や加齢なども耳鳴りが起こりやすい状態になります。
耳鳴りの多くは一時的なものですが、頻繁に起こると、精神的にも負担になります。
慢性化すると難聴にもつながりやすいので、注意が必要です。
耳鳴りを感じた時は身体のどこかに不調がおきているサインと考え、
早めの対処で症状を改善しましょう。
次回は、体質別の対策をお伝えします。
※耳鳴りは脳疾患や自律神経疾患などの病気が原因の場合もあります。
症状が長期化している人は早めに医師の診察を受けましょう。
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生理痛・内膜症を治して妊娠しよう。~「気・血・水」の流れ~
命を支える栄養「気・血・水」は、不眠やお腹の張り、肌荒れだけでなく、生理痛、内膜症、不妊にも大きく関わっています。
気・血・水とは? 流れが悪いとどうなるかなどお伝えします。
①気の流れ
「気」とは体の力のもとであり、エネルギーです。気は食べ物から絶えず作られています。
「気」が不足すると疲れやすく、冷えやすくなります。
「気」が停滞するとストレスが溜まり、胸やお腹が張ってガスが溜まりやすくなります。
生理も早く来たり、遅くなったりします。基礎体温もガタガタしてよい卵ができにくくなります。
②水の流れ
「水」とは身体のすべての水分のことを言います。体内の水分だけでなく、汗や、唾液なども含みます。
全身を巡って潤し、一部は血液になります。
年齢とともに体内の水分は減ってくるので、眼や皮膚は乾燥し、口は渇き、体はほてり、
基礎体温の周期は早くなり、低温期は体温が高くなりがちです。
③血の流れ
「血」の源は食物です。栄養物質を全身に送り滋養と潤いを与えます。
血が少ないと、肌や髪はカサカサします。また「血」は心身を安定させる働きがあります。
不足すると不安状態になり、眠りも浅くなります。
生理の量も減り、子宮内膜が薄くなるので卵は着床しにくくなります。
④血を滞らせるとどうなる
血の流れが停滞すると全身の血液はドロドロしてきます。
経血も粘っこくなり、暗い赤や紫に近い色になります。
経血に塊が混じるようになり、痛みも伴うようになります。
経血は子宮内膜がはがれたものです。経血を見れば内膜の状態がわかります。
「気」と「水」の流れが悪いと「血」も停滞し「瘀血(おけつ)」となります。
「瘀血」になると、血の流れが悪いので、血はドロドロして粘っこくなり、
経血は暗い色になり、進むと紫色になり、固まります。
それは経血の塊やチョコレート嚢腫などです。
子宮の出口が狭い場合も経血が膣を出るときに痛みを感じることがあります。
ドロドロ血「瘀血(おけつ)」がサラサラなきれいな赤い血になると生理痛は軽くなり、妊娠しやすくなります。
~次回は瘀血をとる方法をお伝えします~
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子午流注 -中医の時間医学-
2017年、アメリカの3人の科学者が体内時計を生み出す遺伝子を発見し、ノーベル賞を取り話題になりました。
しかし、実は中国では2千年前、すでに時間と養生の関係が示されていました。
その子午流注(しごるちゅう)は「中医の時間医学」として注目され、
現代人の睡眠養生法、病気の発症時間、薬を飲む時間、身体の変化などについて研究、活用されています。
子午流注は中国伝統医学特有の理論で、中国最古の医学書『黄帝内経』に記載されています。
「子午」は「時刻」の意味で一日24時間を12等分し、十二支に対応させています。
「流注」は人体の十二臓腑の気血運行の流れを意味します。
「子午流注」は一日24時間の、臓腑気血の運行リズムを表したものです。
【子午流注からわかること】
子時(23時~1時)は胆の時間(子時:子の刻 🐭)
胆は消化に直接関わる胆汁を生成、貯蔵、排泄しており、
子の刻は胆汁の新陳代謝が最もさかんになる時間帯です。
この時間に就寝しないと、胆汁の代謝がきちんと行われず、口が苦く、
のどが渇き、顔色が悪く、目袋(目の下のたるみ)が黒くなります。
肝(きも)とは、「肝っ玉」のこともあらわします。
23時までに寝ると、肝っ玉がつよくなり、判断力が早くなります。
また、お肌もつややかに潤います。
丑時(1時~3時)は肝の時間 (丑時:丑(うし)の刻🐮)
* 寝ると、血は肝に帰る *
肝はこの時間帯で蔵血、造血、解毒に専念し、
生命エネルギーで血を温め、新鮮な血が生産されます。
もしもこの時間に、起きて活動していると、血は肝に帰ることができず、
ずっと諸経をめぐっていることになり、新鮮な血が生み出されません。
そうすると全身の筋が硬くなり、身体がだるく感じます。
また、身体が酸化し、シミなどが現れやすくなります。
*肝は計略、策略を主る*
この時間帯に熟睡できないと、思考力の低下や、怒りやすくなる、
憂鬱になるなどの症状がでます。
寅時(3時~5時)は肺の時間(寅時:寅(とら)の刻🐯)
人間はこの時間帯で浅い睡眠に入り、静から動に転換します。
肺は、丑時(午前1時から3時)に浄化された、きれいな血液をもらい、
その新鮮な血を肺気の力で全身に供給します。
この時間帯に、清浄で新鮮な空気中で呼吸することが、肺を養うのに適しています。
もし喫煙すると、他の時よりもいっそう肺の機能を落としてしまいます。
卯時(5時~7時)は大腸の時間(卯時:卯(う)の刻🐰)
大腸は排便し、身体の毒素を排泄します。
この時間にしっかり排便すると、大腸の排毒作用によって肺や皮膚を清浄に保つことができます。
朝起きてから、ぬるま湯をコップ1~2杯飲み、余裕を持って排便する習慣をつけるとよいです。
辰時(7時~9時)は胃の時間( 辰時:辰の刻🐉 )
消化器系に気血が集中し、食物の消化が最も盛んになるため、
この時間帯に食事をすると、十分に栄養を吸収することができます。
今日は、どんな朝食を召し上がりましたか?
栄養のバランスも大事です。
巳時(9時~11時)は脾の時間(巳時:巳の刻 🐍)
脾とは、消化器系のことをさします。
脾は消化、吸収、排泄すべてをコントロールし、
気血を生み出す源であり、
清気を上げ、濁気を下げ、全身に気血を巡らせます。
脾は湿が生じやすく、この時間帯に冷たい飲み物をたくさん飲むと、
脾の中に寒湿を生じ、脾の働きが悪くなります。
午時(11時~13時)は心の時間(午時:午(うま)の刻 🐴)
午の刻は、陽気がもっとも盛んで、人体の“気血陰陽”の転換点です。
(※陰とは、夜、月。陽とは昼、太陽)この時間は、陽から陰に転換し始めるので、激しい運動は避けて、
ゆったりと落ち着いてすごしましょう。
15~30分程度の昼寝、うたた寝が陰陽交替を助けます。
この短時間休息が、午後からの活力のもとになります。
未時(13時~15時)は小腸の時間(未時:未(ひつじ)の刻🐑)
小腸は、胃から送られてきた消化物をさらに消化し、水分栄養の吸収を行い、
必要な栄養素は脾へ、余剰な水分は膀胱へ集め、かすは大腸へ送り出します。
この時間帯は、小腸に栄養物質が多いため、水分がほしくなります。
飲み物を適度に飲むと、血液に送られた栄養物質が希釈されて、
ドロドロにならず、流れがよくなります。
申時(15時~17時)は膀胱の時間(申(さる)の刻🐵 )
膀胱は、排尿と身体の体液の調整をします。
この時間は排尿を我慢せず、飲み物もよく飲むことです。
また、排尿によって身体にこもった熱を体外に排出します。
さらに膀胱経の気は、経絡に沿って大脳に到達するので、
この時に勉強や読書をすると効率が上がるそうです。
酉の時(17時~19時)は腎の時間(酉時:酉(とり)の刻 🐔 )
「腎は水をつかさどり、五臓六腑すべての精を蔵す」と言われ、
父母から受け継いだ先天の精(生命活動のエネルギー)と食物から得た後天の精を蓄えています。
この時間帯に精(生命活動のエネルギー)が腎へ入り、貯蔵されるので、
腎を養う食物を摂るのに最適な時間です。
戌時(19時~21時)は心包の時間(戌(いぬ)の刻🐶 )
心包は、心臓の外周にあり、気血を通しながら外邪の侵入を防ぎ、
常に心臓が最適な状態であるよう守っています。
心包は脳との関係もあるため、この時間帯は脳の出血リスクが高くなります。
この時間帯にウォーキングなど軽い運動をすると、心臓の機能を高めることができます。
亥時(21時~23時)は三焦の時間(亥(い)の刻🐗)
三焦(上焦・中焦・下焦)は六腑の中で最も大きい腑で、
気血を全身くまなく運んでいます。
この時間帯はゆったりと過ごすと全身の百脈を十分休ませ、養うことができます。
「睡覚先睡心」
(睡眠はまず「心」の落ち着き、すなわち穏やかな状態を求めるべき)
という言葉があります。
文責 薬剤師 国際中医師 植松光子