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松居一代さんの息子のアトピーを治した、中国の漢方医の思い出 その2
松居一代さんの息子さんのアトピーを治された秦先生は、
北京中医薬大学日本校の副学長もなさっていました。
そして、北京中医薬大学日本校の卒業式が北京の本校で行われ、
私も卒業生の一人として、出席していました。
終わって大学の食堂で中国の料理の鉄人と言われる料理長のもとで、
50種類のおいしい薬膳料理を堪能しました。
写真:雪の日に、我が家の蝋梅
その時秦先生のお顔の色が冴えない、と気になりました。
そして翌日、日本に帰った日に、突然倒れ、帰らぬ人となってしまいました。
お葬式には松居一代さんとその坊やも出席され、
松居さんは原稿も見ないで立派に弔辞を述べられました。
その時見た息子さんはアトピーの赤みは見えませんでしたが、
かさかさ乾燥して痩せて色白のお子さんでした。
ひどい炎症の時期は超えましたが、これから潤いのある健康な肌にするのは時間がかかります。
かゆみも続くでしょう。
しかし、これからは胃腸を丈夫にする漢方薬を飲み、体格をよくして、
食事と生活、早く寝る、と言ったことに気を付けていけば
きっとさらによい肌になるだろう、と思い、遠くから彼の幸せを祈りました。
そしてアトピー患者さんに命をささげた秦先生の冥福を祈りました。
薬剤師 中国政府認定国際中医師 植松 光子
2014年2月18日 -
松居一代さんの息子のアトピーを治した、中国の漢方医の思い出 その1
松居一代さんの息子さんが、中国の漢方の先生に治してもらった
という話は有名ですが、私はその先生について
2年間本場中国の漢方の皮膚科を直接学びました。
その先生は北京中医薬大学付属病院の副院長で、
皮膚科医として有名な秦漢琨先生です。
ちょうどその頃、先生は北京中医薬大学日本校の設立準備のため、
日本にいらしていました。
中医学(漢方)を熱心に学んでいる薬剤師がいる、
ということで紹介されて埼玉県川越市にある私の店に指導にいらしてくださいました。
日本語が全くお出来にならないのに、おひとりで都内からいらして、
東上線の新河岸駅で私の名刺を通行人に見せて
道を尋ねていらっしゃるお姿が鮮明にまぶたに焼き付いています。
日本語は「かゆいい~?」と「お通じは~?」の二つだけ。
皮膚病と言うのは、皮膚を見ますから、
それだけで中医診断ができる、というわけです。
痒みはアトピーの特徴です。ニキビやほかの皮膚病と区別できます。
便通は中医学(漢方)では大事な体質のチェック法です。
便秘があれば体の中に「熱」がこもっています。
「熱」がこもっているので皮膚が赤く、乾燥するのです。
この「痒い」と便通が皮膚病の鑑別のポイントなのです。
秦先生は全身細かく見てくださり、言葉が通じなくても慈愛のこもった診察は、
その時診てもらった男性の患者さんが「あの先生元気?会いたいなあ」
と後あとまで、おっしゃるくらいでした。
皮膚の難病の尋常性乾癬や慢性じんましんなどが
みるみるうちによくなる姿を見て、私も中医学の皮膚科のすごさを感じました。
アトピーはさすがにすぐ、というわけにはいきませんでしたが
ステロイドの副作用と慢性で肌が赤く、てかてかしてかゆみの取れない人たちも
だんだん良くなり、その後20年後にお会いした方も、悪くなってはいない、と喜んでいました。
先生の処方の特徴は胃腸をいたわる処方で、
消化の漢方生薬をどの人にも使っていたのが印象に残っています。
皮膚病は食べ物が大事です、と同時にそれを消化して
血にして、丈夫な皮膚を作ることが大事なのです。
松居さんの息子さんは始め中国にいる漢方医に診てもらい、
その後その漢方医の大学の教官である秦 漢琨に診てもらいすっかりよくなったようです。
しかし秦先生は有名になってしまい、毎晩11時ころまで往診され体調を崩されました。
薬剤師 中国政府認定国際中医師 植松 光子 2014年1月23日
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カビとアトピー
~中医学では300年前にすでに注目~
『人間の汗に含まれる物質を分析したところ、かゆみを引き起こす物質「ヒスタミン」が放出される際、
カビの一種の「マラセチアグロボナーゼ」が作り出すたんぱく質が炎症にかかわっていたことが分かった。
このカビは健康な人間の皮膚にも存在し、作り出されたタンパク質はごく微量でもアレルギー反応を引き起こす』
と広島大学大学院の研究グループ(秀道広教授)による成果が発表されました。
6月6日付 朝日新聞_____
汗をかくとカビが繁殖します。
確かに毎日多くのアトピーの人たちの相談を受けていますと、汗をかく梅雨時から夏悪化する人が多く見られます。
また場所もひじの内側やひざの裏、顎、わきの下などに多く発症します。
中には学生や事務職の会社員で座る時間が長い人でお尻が真っ赤にかゆくなったり、と汗をかく場所に多くアトピーが発症しています。
面白いことに中医学ではアトピーのことを中国語で「四弯風(しわんふう)」と言います。
これは「四つの弯曲したところのかゆみ」という意味です。
すなわち両肘の内側と両膝の内側の4か所です。
この「四弯風」は1665年に書かれた中医学の医学書「外科大成」にその名前が載っています。
すでにアトピーの特徴が認識されていたというのは驚きです。
そしてアトピーのかゆみ、赤みなどの症状を軽くする生薬にカビなどの殺虫効果のある生薬が用いられています。
苦参(くじん)は名前の通りとても苦く、飲んだり、外用に用います。
生薬を煎じてその汁をかゆいところにかけます。
抗真菌作用と抗トリコモナス作用が認められていますので女性の陰部のかゆみにもとても効果があります。
外用に使う場合は副作用がありません。内服の場合は苦いので胃腸に気を付けます。
白鮮皮(はくせんぴ)も抗真菌作用があり白癬菌を抑制します。
これらの生薬は「カビが原因」とニュースで発表されるずっと前から、中医学ではアトピーのかゆみによいと用いられてきました。
そしてこれらの配合された漢方入浴剤もあります。汗によるかゆみや水虫にも、よく家じゅうで入れます。
例
男子の大学生でアトピーがあり、特にお尻がかゆい、と来店されました。
真っ赤になって汁もでていて、電車の中や、授業中椅子に座っていてもかゆくてじっとしていられないとのことでした。
カビとあせのかゆみに効く漢方薬を飲んでいただきました。
家でも試験勉強で座っていることが多いので、蒸れて治りにくいので、
なるべく家では風通しのよいショートパンツですごしてもらうよう話しました。
辛いものやお酒は体を熱くしますのでキムチやビールなど避けてもらいました。
漢方薬の内服と漢方の入浴剤、漢方のかゆみ止めのスプレーを使い、
時間がかかりましたがすっかりよくなり、喜ばれました。
文責 薬剤師 国際中医師 ウエマツ薬局 植松光子
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生理不順の人の赤い蕁麻疹は血熱の漢方で
永年の蕁麻疹が血熱の漢方薬でよくなった24歳の女性の例です。
もともと生理不順で2、3か月に一回しか生理が来ていませんでした。
10歳ころから運動して汗をかいてから蕁麻疹が出るようになりました。
小さいぶつぶつや大きな膨れた赤い蕁麻疹ができ、数時間で自然に消えます。
ストレスにあうと蕁麻疹がひどくなります。
予防に抗ヒスタミン剤を飲んでいましたが、飲まないと出ます。
ウエマツ薬局の漢方を3か月飲んでから、ためしにその抗ヒスタミン剤をやめてみましたが
蕁麻疹は出ませんでした。
便通もよくなり、毎年夏蕁麻疹がひどくなるので予防にそのまま3年間漢方薬だけ飲み続けていました。
その後すっかり蕁麻疹は出なくなったのですが、24歳になった頃、
ストレスと睡眠不足から蕁麻疹がまた出始めました。
生理も2か月1回しか来なく、身体は熱く寝る前は蕁麻疹がひどくなります。
そしてまた漢方薬を飲み始めましたら、今度は飲んで3週間で蕁麻疹は全く出なくなり、
遅れていた生理もすぐきました。
蕁麻疹の種類
特定の刺激が原因のタイプ 1:アレルギー性蕁麻疹・・・食べ物、薬、植物など
2:物理性蕁麻疹・・・寒冷、温熱、日光、圧迫、摩擦など
3:コリン性蕁麻疹・・・発汗による
原因不明のタイプ
1:急性蕁麻疹・・・・毎日のように症状があらわれ、1か月以内に治る
2:慢性じんましん・・毎日のように症状があらわれ、1か月以上続く
●アレルギー性蕁麻疹
原因がすぐわかるものは食べ物や薬によるアレルギー性蕁麻疹です。
これら口から入ったものは主に下腹部など体の柔らかいところから
赤い膨疹で地図のようにまだらに腫れたり、ぶつぶつの丘疹が全身に広がります。
特にそばアレルギーに代表される食べ物による蕁麻疹はアナフィラキシーショックと言って
呼吸困難になったり危険です。のどの中がかゆくなったらすぐ病院に行きましょう。
のどの中の粘膜が腫れて窒息する恐れがあります。
○浣腸を常備しよう。
急に発疹が出たときはまず浣腸しましょう。
腸の中に原因物質がある限り発疹は続きます。
浣腸は発熱の時にも使えますから、いつでも用意しておきましょう。
以前娘が産後の検診で出かけたときに、3か月の孫を預かったことがあります。
授乳時間になり、病院からサンプルとしてもらったミルクを飲ませました。
そうしましたら、みるみる蕁麻疹が全身にでき、5,6㎝大の大きさに赤く腫れて盛り上がってきました。
小さな赤ちゃんでこの盛り上がりがのどに来たら窒息です。
すぐに薬局に走りに走り浣腸を買ってきてすぐ使いましたら30分くらいで見事にすぐ引いてきました。
そして小児科につれて行ったときには蕁麻疹は全く影も形もなくなり一安心しました。
原因物質が腸にある限り蕁麻疹が出ていますから、早く腸をきれいにすることが早く治るコツです。
●その他の蕁麻疹
温熱や寒冷などの物理性蕁麻疹や慢性蕁麻疹などいくつか組み合わさったものなどあり、
蕁麻疹の原因は複雑で治りにくいものです。
西洋医学では抗ヒスタミン剤を用いますが、これはあくまで抑えるだけですのでやめればまた出てきます。
中医学では免疫力を高めて防衛力、血行改善、冷えの改善などその人にあった方法で改善していきます。
元来体の免疫力が低下して発症するものですから、治すには時間がかかります。
焦らず漢方薬を飲んでいけばだいたいの人が良くなっていきます。
この方の場合は生理不順、生理痛、ストレス、夏悪化するなど血熱の症状がありましたので
血熱の漢方薬を用いてよくなりました。
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赤ちゃんのアトピーがこんなによくなりました
【初診の時の写真】
ステロイド軟こうを皮膚科にかかって使っていてもよくならない、と来店されました。
顔は真っ赤で腫れあがり、一晩じゅう泣いている、と両親は困り切っていました。
【1週間後】の写真
赤みと腫れをとる漢方薬と腸をきれいにする漢方のお茶を飲んで、
五行草茶の粉末で湿布をしてもらったところ、どんどん赤みが引いてきました。
しかし苦いので直に飲まなくなったので飲みやすい漢方薬に変え、
その後は消化を助け腸や皮膚をきれいにするものなどにしてずっとよくなっています。
【半年後の写真】
赤ちゃんは消化器が未熟なので食べ物でアレルギーを起こしやすく、
漢方では胃腸を丈夫にして皮膚を丈夫にする、という考えが赤ちゃんのアトピーを改善する基本です。
参考: 赤ちゃんのアトピーを楽にする方法
また乾燥肌をそのままにしておくと大きくなってから、アトピー症状がでます。
まめに保湿しましょう。
保湿剤としてはウエマツ薬局 オリジナルの花しずく潤(ルン)の乳液は
ドクダミ、桃の葉が入っていて夏のあつさやほてり、汗もにもよく、
つけるとさっぱりしてしかもしっとり感が続き喜ばれています。
秋、冬になり乾燥してきたら花しずく潤(るん)のクリームを重ね塗りします。
この中には中黄膏と紫雲膏の成分が入っていて赤み、かさかさの肌に気持ち良く合います。