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本物の漢方医は優しい
中国の漢方医は偉くなればなるほど優しい、というのが長年接してきた私の感想です。
50代くらいのバリバリの医師たちは日本と変わりませんが、名医、人間国宝と言われる方ほど優しく、患者さんに慕われるようです。
私は20年来お父様を人間国宝に持つ、路京華先生に師事しています。
中国北京の路先生のクリニックに研修に行った時のことです。
5歳くらいの女の子が診察室で突然スカートの端をもって踊り始めたのです。
先生にお会いしてうれしい!というのです。
長くアレルギーで通ってきているとのことです。
先生が「あなたは将来何になりたいの?」と聞きましたら、なんと
「漢方医になりたいの」とかわいい声で返事をするではありませんか。
日本からの研修生も一同びっくりしてしまいました。
なんと賢い子でしょう。
きっと今まで路京華先生の診察を受けていて子供心に感じることがあったのでしょう。
中国では名医と言われる方ほど優しく威張らないような印象を私は受けます。また長生きされます。
この路京華先生のお父様、路志正先生は現在102歳。現役で診療をされています。
夜は漢方の古典を今も勉強されているそうです。4年前は万里の長城に登られています。
(写真:漢方の人間国宝 路志正先生と。先生の書)
ご一緒に会食をしましたが、しっかりと召し上がり、感心したことは六分目くらい召し上がったところでそれ以上は勧められても絶対に召し上がらないことでした。
円卓の中華料理ですから、周りがいろいろお勧めするのですが、お箸をお付けになりませんでした。
しっかりと食事の節制を守られているお姿に感銘しました。
漢方の基本は養生です。
文化大革命で辛い思いをされたようですが、養生を守って長生きされているお姿に漢方の真髄を見る気がします。
文責:植松光子 薬剤師 中国政府認定国際中医師