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悲しみを人類愛に昇華させた、元横綱大鵬
今回大記録を打ち立てた白鵬関が、
お子さんたちも一緒に記者会見を受けているニュースを見ていたら、
突然思い出されたことがあります。
大鵬が結婚して、初めての赤ちゃんが産まれて3,4ヶ月の頃です。
奥さんが洗濯物を干しに行っていた、ほんのちょっとの間に、
その赤ちゃんが突然、亡くなってしまったのです。
当時、私も同じくらいの乳幼児を抱えていて、他人事ではありませんでした。
人の親になったばかりの若い二人の事を考えると、胸をかきむしられる思いでした。
その悲劇にもかかわらず、大鵬関は、皆さん御存じのとおり、活躍を続けていかれました。
しかし後年脳梗塞を患いましたが、わたしの師匠の
高名な漢方薬剤師の先生の治療で、見事回復されました。
薬局に自筆のお礼状が飾ってありました。
ところで数年前、北海道弟子屈町の相撲会館を訪れたときの事です。
大鵬関が、数十台の救急車を各地に寄付されている様子の写真を目にしました。
その記事を読んだとき、昔の悲劇を思い出しました。
そして、少しでも早く命が助かるよう、
懸賞金などを寄付され続けているお気持ちを思うと、
ただただ頭が下がる思いでした。
悲劇を人類愛に高められた大鵬関は、
相撲の技だけでは終わらない歴史に残る偉大な横綱でした。
植松光子