生理痛と言っても、人それぞれで、痛みの程度、痛む場所など同じ女性でも、季節や月ごとに違うという事もあります。痛みがあるのが当たり前、という方もいらっしゃいますが、中医学では痛みのある生理を「痛経(つうけい)」と呼び、生理痛は“ない”のが正常な状態と考えます。
経血の量は多すぎず(多い日の日中2時間をロングナプキンで過ごせる程度)、色は赤色で粘り気や大きな塊がないようなら問題はないでしょう。
生理痛がある、周期や日数が乱れる、量や色が気にかかる、といった場合は注意が必要。生理痛の諸症状は、さまざまな要因で体内の「気」「血(けつ」の働きが乱れることで起こるものです。
体質を見直し、対策することで根本から改善することができます。
ただし、生理痛が我慢できないほどつらい場合は、子宮内膜症などの病気が原因となっている場合もあるので、早めに医師の診察を受けるようにしましょう。
原因と対処法
1気・血の流れが悪い「気滞血瘀(きたいけつお)」
*気になる症状
・生理痛の特徴:生理前、生理中の下腹部の張り、痛み、胸の両脇の張り、痛み、情緒の変動によって、痛みが変化する
・生理の特徴:経血の色が暗い、経血に塊が見られる、その他の症状、生活にストレスが多い、イライラしやすい
*改善ポイント
血液の貯蔵庫といわれる五臓の「肝(かん)」は、生理にも大きく影響する女性に関わりの深い臓器です。
この肝は情緒を安定させる働きを持つため、ストレスの影響を受けやすいことが特徴。
強いストレスを受けると、気の流れが滞り、生理時に腹部の張り、軽い生理痛といった症状が現れます。
また、気の流れの滞りが長く続くと、血の流れが悪くなる「血瘀(けつお)」を引き起こし、重い生理痛につながることもあります。
2冷えが原因「寒邪(かんじゃ)」
*気になる症状
・生理痛の特徴:生理前・生理中の下腹部の冷え、痛み。冷えると痛みが強くなる。温めると痛みが緩和する。
・生理の特徴:経血の色が暗い。黒ずんだ血塊がある。経血がすっきりと出ない。
・その他の症状:手足が冷える。むくみやすい。顔色が白っぽい。
*改善ポイント
冷房や冬の寒さなど、外からの冷え。
食事や服装の不注意、陽気(ようき:身体を温めるエネルギー)不足などによる身体の内の冷え。
2つの冷えが原因で、子宮が冷えて血の流れが悪くなり、生理痛につながります。
冷えが原因の生理痛は、とにかく身体を温めることが大切です。
外からの冷えを発散し、体内、特に子宮を温めて血の流れを良くすることで痛みをやわらげます。
生理期間中は、身体を冷やすとさらに痛みが強くなってしまうので注意しましょう。
3エネルギー不足の「気血虚弱(きけつきょじゃく)」
*気になる症状
・生理痛の特徴:生理の後半に痛みが強くなる。比較的弱い痛みが長く続く。
・生理の特徴:生理の周期が長い。経血の色が薄い。経血の量が少ない。
・その他の症状:疲労感、めまい
*改善ポイント
生命のエネルギーである「気」。
身体をめぐって栄養を運ぶ「血(けつ)」。
虚弱体質や慢性疾患、栄養不足などが原因で、この気・血が不足すると、生理で血を排出した子宮に十分なエネルギーが行き渡らず、生理痛が起こります。
比較的多く見られるこのタイプの生理痛は、生理期間の後半から生理後の2〜3日にわたって続くことが特徴です。
また、血が不足するため経血の色が薄く、量も少なめになります。
エネルギー不足で生理中は特に疲れやすく、倦怠感を強く感じるため、まずはしっかりと栄養を摂ることが大切です。
【生理痛が治るとアトピーも治る?】
アトピーの女性の相談を受けているうちに生理の前にアトピーが悪化する方が多いことに気づき、詳しく生理のことをお聞きしましたら、初潮から生理が不順、生理痛がひどい、生理にレバーのような固まりが多い、生理の量が極端に少なく、茶色だという方などが多く見受けられました。
ウエマツ薬局に来店されているアトピーの100人の女性のうちなんと72%の方にそのような生理の異常がみられました。
しかし、漢方を飲み、アトピーの改善とともに生理痛も改善されたという喜びの声をよくお聞きします。
なぜなら、血流がよくなるので、生理痛も肌もよくなるのです。
違う病気でも体質、原因が同じなら同じ漢方薬を使います。
これを「異病同治」と言います。
これが中医学の素晴らしい特徴です。
同じ薬で別の病気も同時に改善していきます。