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二十四節気を用いた食提案 寒露
寒露(かんろ)10月8日〜23日頃
秋の夜長に、コオロギやキリギリスなどの虫の声が響きます。
コオロギの鳴き声の風情は早くも万葉集に歌われていたそうです。
(写真:ナナカマド:街路樹や庭木としても人気があり、秋には赤い実を沢山つけ、紅葉も美しいのが特徴)
《食養生の考え方》
食欲の秋、スポーツの秋などいろいろ言われますね。
姿勢を良くし少し早歩きをすると血流がよくなり、5分のウォーキングでも十分な運動になります。
体の筋肉を使い、内臓、関節を動かすと運動効果が高まります。
また、適度な運動はストレス発散にも効果的です。
食欲の秋ですが、食べる際は、まず良く噛むことを心がけましょう。消化吸収を良くしてくれます。
気持ちが沈みやすくなる秋です。
好きな匂いを嗅ぐ、読書、映画、音楽を聴くなど、リラックスして気の巡りが良くなるよう心がけて下さいね。
《旬の食材》
鯖(さば)
鯖の脂は血液をサラサラにしてくれます。青魚の大様と言われるほど、栄養豊富で、
疲労回復・老化予防・補血などの効果があります。
柿
柿に含まれる主な栄養素には、ビタミンC、β‐カロテン、カリウム、食物繊維があります。
柿は甘くて冷やす作用があり、二日酔・酒毒・口内炎・発熱時に良いです。
ただし冷やすので食べ過ぎにはご注意。
産後や冷え性、便秘の方も気を付けて下さいね。
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二十四節気を用いた食提案 秋分
秋分(しゅうぶん)9月23日〜10月7日頃
日の出から日没までの昼と、日没から日の出までの夜の長さがほぼ同じになります。
中秋の名月や彼岸花や金木犀などもキレイな時期で、稲刈りが進み、風景もぐっと秋を感じるようになります。
(写真:金木犀)
《食養生の考え方》
秋は「肺」の乾燥にも注意:
秋になると空気が乾燥するので、皮膚、鼻、のど等も乾燥し、皮膚病や呼吸器の症状も悪化しやすくなります。
特にこの季節は肺をいたわるのが大事です。呼吸をゆっくり、深くし、意識して胸を張ったほうが、肺が広がり、健康になります。
粘膜や皮膚の粘膜が弱いと、気管支や鼻の不調につながります。
鼻洗浄もおすすめです。
お湯が体温と同じ温度、塩分濃度を1%にして、朝晩、鼻洗浄すると、すっきりします。
高齢の人はとくに体内の潤いが不足しがちになり、乾燥症状も出やすくなります。
日頃から健康を保つよう心がけましょう。
《おすすめ食材》
牛蒡
食物繊維やビタミン、ミネラルなどの栄養素が豊富。
便秘の解消、整腸、動脈硬化やガンの予防などに効果があります。
体内の余分な熱を取り除き、口の渇きや熱のある腫物、吹き出物を改善する効果もあります。
生姜
風邪の初期などに、しょうが湯を飲んで、寒さを追い出したり、
食欲増進、食中毒予防などが「生しょうが」の薬効としてあります。
「加熱したしょうが」は、体の中心からじんわり温めてくれるので、冷え性を根本から改善してくれます。
胃腸の血流も良くなるので慢性的な胃腸の弱りにもおすすめです。
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二十四節気を用いた食提案 春分
進学、就職、人事異動など、環境の変化が多い時期です。
そんな中、ストレスが溜まると、イライラ・頭痛・肩こり・お腹が張る・
生理不順・不眠などの不調が出てきます。
カモミールやミントなど香りの良いお茶でリラックスしたり、
身体を動かしたりするなど、ストレスをこまめに発散するように心がけて下さいね。
食べ物は微量ミネラルを含むもの・牡蠣・抹茶・あおさ・納豆・卵・なつめなどがお勧めです。
微量ミネラルとは鉄・亜鉛・銅・カルシウムなど栄養素として欠かせない栄養素のことです。
《旬の食材》
アスパラガス
春から初夏が旬。カリウムやマグネシウムの吸収をよくし、
疲労回復を助けるアスパラギン酸を多く含みます。ルチン・葉酸も豊富。
口渇・むくみ・不眠・空咳にもよいです。
蕗(ふき)
食用とされる、一般的な品種は、主に愛知県で栽培されている「愛知早生」。
カリウム・カルシウムが含まれ、食物繊維はごぼう以上に多い。
解毒作用があり、また、咳を止め、痰の排出を促進する作用もあります。
《春分》
春分(しゅんぶん) 3月20日〜4月3日ごろ
春分は、太陽が赤道上にあり、地球のどこにいても昼と夜の長さが同じになる日です。
厳密にいうと実際には昼のほうが少し長いそう。
春分の前後3日を含めた7日間が春のお彼岸です。
先祖の霊を供養する仏事が行われますが、その他にも
日本では古来よりこの頃に農事始の神祭をしていたようです。
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アトピー性皮膚炎:再発を防ぐには
●漢方を飲めば再発しませんか?
絶対再発しない、とは言い切れません。
しかし創業41年のウエマツ薬局において植松光子の経験では10年以上再発していなく
漢方のクリームだけお買いに見えている患者さんは多くいらっしゃいます。
その経験から「アトピーは中医学と薬膳で治す」<二見書房>を2005年に出版しました。
それから17年経ちますが、いまだにその本を本屋さんや図書館などで読んで
全国から多く来店されています。
症状が改善され、胃腸など弱い体質を治す漢方薬を気長に少しずつ飲んでいる方はほとんど再発しません。
しかし少し良くなっただけで漢方を飲むのをやめてしまった方は数年経ちますと
また悪化して来店されます。
しかし二度目は短期間で改善されるので、喜ばれます。
多分漢方で治す力が出てきていたと、思われます。
●どうして再発するのでしょうか?
悪化の原因は甘いもの、揚げ物、辛い物の食べ過ぎ、飲み過ぎ、早食い、遅寝と睡眠不足、
環境の変化・・就職、転居など。
ストレス・・失恋、離婚、退職、人間関係など
様々な要因で悪化します。それが単なる痒みと違い、「不思議な」病気と言われるゆえんです。
●再発を防ぐにはどうしたらよいでしょうか?
ウエマツ薬局で再発して真っ赤な顔で来店された方に
「どうしたの!?」とお聞きしますと、ほとんどの方がご自分で原因がわかっています。
それは漢方相談でいらしていた間に私が繰り返しお話ししてきたからです。
しかし人間は弱いものです。
「よくなったのでお菓子を3日間食べまくっちゃいました」
「ビールをいっぱい飲んじゃいました」
アトピーが「不思議な」病気、と言われるゆえんです。
窮屈だと思っていた養生、食事、睡眠、心の持ち方などいつの間にか習慣となって身についてくると
再発しなくなり、心も、体も丈夫になってくるのです。
●アトピーは一生治らないのでしょうか?
その答えは例えてみると、風邪を引きやすく風邪薬ばかり飲んでいた人が、
食事、睡眠、運動と気を付けていけば風邪を引かなくなります。
気が緩んで不養生になればまた風邪ばかり引くようになることもあります。
この例えとアトピー性皮膚炎は同じだと考えてよい、と思います。
●不養生とはどういうことですか?
寝不足、遅寝、食べ過ぎ、飲み過ぎ、甘いお菓子やスナック菓子の食べ過ぎ、
冷たいものの摂り過ぎで免疫力が落ちることです。
私が中国で研修を受けた漢方の皮膚科の名医は
「美味しいものは全部だめ」と患者さんに教えていました。
写真:広州皮膚科研修風景 漢方人間国宝 禤国維教授
後ろは研修中の筆者 植松光子養生はとても大事な要素です。
しかし養生だけでは足りない人は漢方薬の力も借りてもいいでしょう。
●漢方にはどういうものが入っているのですか?
医食同源、薬食同源とも言います。
漢方薬の処方には食べ物も一杯入っていて免疫力をつけるようになっています。
例えば寒気のする風邪の初期に飲む葛根湯には、葛、生姜、ナツメ、シナモンと
漢方薬が配合され、寒気が取れて元気に治るのです。
アトピーの処方にはこもった熱をとるもの、ジクジクした汁や腫れを取るもの、
痒みに効くもの等多くの生薬が配合されてその症状や体質に合わせて用いると
効果が出るようになっています。
●症状はどのように分類されるのですか?
血熱・・・皮膚が真っ赤・熱感・イライラ・便秘・口が渇く・目が充血
湿熱・・・赤く腫れてジクジク・掻くと汁が出る・水疱・便が軟らかで臭い
カサカサして赤い・亀裂がある・・・かゆみはひどい・落屑が多い・冬悪化
慢性化・・・黒ずんでガサガサ・ゴワゴワ・皮溝が見える アミロイド
●アトピー性皮膚炎の体験談
① ステロイドのリバウンドを漢方で克服して
副題:痒みとサヨナラ② 脱ステ後、漢方でアトピーがよくなり、生きるのが楽になりました
副題:生きるのが楽になりました③ 再発をくりかえすアトピーが改善してきました
副題:夜明け~アトピーからの卒業~ -
植松光子のアレルギー遍歴:その4 【長生き基本メニュー】
私も母の手料理で皮膚炎を再発することなく過ごすことができるようになり、
料理に関心を持つようになりました。
母の料理のメニューは単純です。
長生き基本メニュー
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●朝はご飯とみそ汁、納豆に卵 ぬか漬け、小魚の佃煮。
●昼はパンと牛乳、肉野菜炒め、
●夜はご飯と魚、野菜の煮物などと食後のフルーツ。
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●三時には父がサイホンで入れる香り高いコーヒーとおせんべいなど。
基本は主食の穀物、蛋白質、野菜です。
蛋白質は、朝は豆腐、昼は肉類、夜は魚と決まっていました。
このような食生活を50年続けて父は長生きし、母は私が知る限り風邪一つひかず病気にもならず、
この1月私がそばで本を読んでいて気が付かないうちに息を引き取っていました。
享年100歳でした。
写真:母85歳