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理解されにくい月経痛、月経の悩み(1)
副題:月経時の激しい運動、プールでの冷えは月経痛、子宮内膜症の原因になるかもしれません。
●子宮内膜症の原因は月経血の逆流?
今、多くの女性を悩ませている子宮内膜症。
激しい痛みを伴い、社会生活などQOLの低下を招き、不妊症の原因にもなっています。
子宮内膜症の原因の一つに「逆流説」があります。
月経血の大部分は、膣を通じて体外に排出されますが、一部は卵管を通じてお腹の中(骨盤内)に逆流します。
月経血中に存在する剥脱した子宮内膜組織や細胞が、この逆流月経血とともに、骨盤内の臓器や組織に付着し育つことで、子宮内膜症になるといわれています。
これを月経逆流説と言い、現在の最も有力な内膜症の原因仮説です。
(以上日本内分泌学会 HPより)
卵巣内で発生し、古い血液が溜まればチョコレート嚢胞となり、出所のない月経血は激しい痛みを引き起こし、がん化することもあります。
また肺の周り尿管、腸管などに付着すれば、それぞれ月経期間に血痰、血尿、血便を起こすことが知られてきました。
注;「月経」は医学用語です。今は「生理」と表記するのが一般的です。
それではその逆流とはどのようにおきるのでしょうか?
続きは次回にて。
川越市薬剤師会 広報紙「やげん」令和4年6月 投稿より
投稿 薬剤師 国際中医師 植松光子
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意外とよく効く、出血に漢方薬
血が出ると心配になりますね。
ひどい大量の真っ赤な出血はすぐ医療機関に行きましょう。
ただ漢方薬でよく効く出血もあります。
特に慢性・持続的の出血で、医療機関で効果が出ない場合、
漢方薬は体質から治しますので、漢方薬が奏功することがあります。
試してみるのもよいでしょう。
*鮮やかで大量 突然に(炎症性の出血)
上半身に起きやすい(吐血、喀血、鼻血)、血便、血尿
他の症状:熱感・顔が赤くなる・唇や粘膜が赤い・口が渇く・痔・
夏の子供の鼻血 ・・すぐに氷水で首の後ろを冷やします
気滞 温熱病
*鮮やかで少量 (慢性・持続的の出血)
血尿や血便、血の混じる痰など様々な出血
他の症状:夕方からの熱感・掌と足裏の熱感・口渇・胸が暑苦しい・寝汗
空咳・声枯れ・粘痰・筋肉のけいれん・生理周期の遅れ・早まる
陰虚
*淡い色で少量 (慢性・持続的の出血)
淡い色の出血 皮下出血やだらだら続く生理の出血
他の症状:元気がない・疲れやすい・食欲がない・寒がる・・・・気虚 陽虚
胃下垂・不眠・くよくよする
胃腸は血液をコントロールする、という中医学の理論があります。
胃腸を丈夫にして止血作用のある処方で意外と効きます。
*暗っぽい色の塊 うっ血性(慢性・持続的の出血)
皮下出血・紫斑・鼻血・歯齦出血・血便・便が黒い・血尿・
不正性器出血・月経血が暗黒色、凝塊が混じるなど
他の症状:色素沈着・小血管の拡張・クモ状血管・固定性の刺す痛み・
腫瘤・静脈瘤・子宮筋腫など
血瘀証
良くなった例:
40代の女性で顔が真っ青な方がご主人に連れられて来店されました。
1年間生理がだらだら止まらないそうです。病院に行きましたが、治りません。
止血効果のある処方を飲んでいただきました。
生理が次第にきちんと止まるようになり、顔色もピンク色になり、すっかり元気になりました。
女性の貧血の多くは生理の異常によることが多いです。
生理を整えていくと出血もおさまり、体調もよくなります。
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皮膚と大腸の意外な関係
中医学では皮膚と大腸の病気は治し方が同じ
潰瘍性大腸炎とアトピーが同時に改善!!
クローン病と痒疹が同時に改善!!
中医学では皮膚と大腸は関係がある、と考えます。
このHPで「痒疹がよくなり生きているのが楽しくなりました。」
を書かれたかたは頑固な痒疹で夜も眠れない状態と同時にクローン病という小腸や大腸に炎症がおこり、
血便や下痢を起こす難しい病気もありました。
内臓全体を言い表すのによく「五臓六腑」という言葉を使いますね。
皮膚は呼吸していますので「肺」の一部と考えます。
五臓それぞれに関係した「腑」があり、「胆、小腸、胃、大腸、膀胱、三焦」をいいます。
「肺」は「大腸」と関係があると、古代の人は考えました。
最近の大学病院の研究でもアトピー性皮膚炎の患者は皆、小腸の粘膜上皮がビランしており、
又絨毛(じゅうもう)の萎縮が見られる、と発表されています。
2000年前と現代の最新の研究が一致する、と言うことに驚きます。
クローン病は腕や脚の皮膚の結節の炎症(結節性紅斑)も起こしますので、
腸と皮膚の関係は十分考えられます。
痒疹は文字の通り「痒い湿疹」で痒みは強く辛い病気です。
原因は明らかではありませんが、一種のアレルギー症状と考えられます。
結節や丘疹状態で盛りあがっており、掻くと悪化し、さらに痒みはひどくなります。
この方はからだの外と中に難しい病気をかかえて、夜もほとんど眠れず、食欲もなく、
生きて行くのも辛い、とおっしゃっていました。
中医学では症状から「皮膚と大腸の湿熱」と考え、皮膚と血便、下痢に効く漢方薬をだしました。
痒疹はかなり早く改善し始め、同時に血便はなくなり、腹痛もなくなっていきました。
このように違う病気を同じ方針で治す方法を「異病同治(いびょうどうじ)」といいます。
現在は「湿熱」はなくなり、もともと胃腸が弱い体質「脾虚」なので
胃腸を丈夫にする漢方を飲んでもらっています。
漢方は治す順番が大事です。
初めは家に入って来た「湿熱」の「邪」=泥棒:をやっつける漢方薬
次は泥棒が入らないようガタついた家「虚」を治す漢方で丈夫な家になり、再発を防いでいます。
潰瘍性大腸炎とアトピーの関係も同じです。
潰瘍性大腸炎も難しい病気ですが希望を持って治していきましょう!
<来店当時(2010年2月19日)のお写真>
<2010年7月31日>
<2011年3月19日>
写真は来店時と5ヵ月後、1年1ヵ月後のものです。ご本人了解済み