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アトピー性皮膚炎:漢方で痒みをとる方法
●漢方で痒みをとる方法はありますか?
あります。
私が研修で行った中国の病院では、ひどいアトピー患者さんはすぐ入院です。
そして漢方薬の煎じ薬と漢方薬の煎じた汁で全身シップします。
そのあと漢方の軟膏をたっぷり塗ります。漢方煎じ薬のお風呂にも入ります。
大体1週間で退院するそうです。
日本でも漢方生薬の粉末を溶かした汁でシップする方法があります。
●ステロイドと漢方薬の軟膏は併用できますか?
できます。
ステロイド軟膏を塗るのは1日1回か2回です。
漢方のシップや軟膏はそれ以外に1日何回使っても大丈夫です。
ステロイド軟膏でとりあえず痒みをおさえ、漢方の外用薬で皮膚の乾燥をおさえ、
皮膚を丈夫にしていくのは効果的です。
●重ね塗りをするときはどちらが先でしょうか?
急ぐ時重ね塗りをする場合は初めに漢方の軟膏、次にステロイド軟膏を塗った方が安全です。
なぜなら先にステロイド軟膏を塗ってから漢方の軟膏を塗ると
ステロイド軟膏が、アトピーが出ている場所以外に広がり、そこは皮膚が薄くなる恐れがあるからです。
ただし痒みがひどいときは先にステロイド軟膏を塗るのもやむを得ないでしょう。
●ステロイド軟膏と漢方薬の働きはどう違うのですか?
ステロイド軟膏は消防自動車。
アトピー性皮膚炎は炎症、すなわち火がたくさん燃えている状態です。
火が強ければ消防自動車の数はたくさん必要です。
少ないと火は完全に消えません。
ステロイド軟膏も同じです。
その炎症の程度に合った強さのステロイド軟膏を指示通り使って早く症状をおさえましょう。
●漢方の軟膏で皮膚を丈夫に
そのあとしっかりと再発しないよう、漢方薬で皮膚を丈夫にして、再発しないようにしていきます。
アトピーの漢方薬も同じで、症状がひどければたくさんの量の漢方薬、軽ければ少なくなります。
漢方は量と効き目と金額は比例します。
ですから初めは高いこともありますが、よくなっていけば安くなりますから、頑張って早くよくしましょう。
国際中医師 薬剤師 植松光子
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アトピー性皮膚炎:ステロイド軟膏を苦しまずにやめられる方法
●ステロイド剤は使いたくない、でも使わずにはいられない
脱ステロイドを苦しまずに成功させることは「やめる方向」で行くこと。
そして同時に丈夫な肌と体質をよくする漢方薬を併用していくとほとんどの人がやめられます。
完全にやめられなくても減らしていくことができています。
その方法をこれからお伝えしましょう。
●ウエマツ薬局の漢方でよくなった方の声を聞くと
ウエマツ薬局に来店され、よくなった方の「喜びの声」を読むと、
今までの葛藤が切々と書かれていて胸がつまります。
初めはステロイド軟膏がよく効いていたのに効かなくなった。
そこで初めてステロイド軟膏に疑問を持った。治すものではない。
副作用も心配。痒みで眠れない。
ステロイド軟膏を使っているから治らないのだ、と思い込んできっぱりステロイド軟膏をやめ、
ひどいリバウンドで夜も眠れない、学校や仕事にも行けなくなった人も多くいます。
●ステロイド軟膏を苦しまずに楽にやめられるには
ズバリ、漢方薬と併用していくことです。すぐやめないこと。
ただしやめる方向で行くことです。
ステロイド軟膏は毎日症状を見ながら少しずつ減らしていきます。
漢方薬は飲んだ日から効くわけではありません。血液の寿命は120日といいます。
漢方薬が効くまでそれくらい考えたほうが気も楽です。
しかし食事と睡眠に気を付けてウエマツ薬局の漢方煎じ薬を飲めばもう少し早く効くと思います。
以前脱ステロイド軟膏で全身赤くなり、ガビガビになり、髪の毛もすっかり抜けてしまった30代の女性が来店されました。
でも漢方の煎じ薬だけできれいになり、髪の毛もすっかりきれいに生えそろいました。
その時からもう10年近く経ちました。今でもひどい再発はなく、きれいなまっしろな肌です。
でも疲れると時々小さな水泡が指に出たりしますので、今も毎日漢方薬を少しずつ飲んでいます。
●ステロイド軟膏の減らしかた
漢方薬を飲み始めて一か月間はステロイド軟膏を減らさないこと。
そのあと症状がよくなってきたら毎日2回の使用を1回にして一か月様子を見る。
次に一日1回を一日おき、よくなってきたら二日おき、三日おきといった具合です。
次第に七日に一回くらい30日に1回くらいにほとんどの方は減らしていけています。
ほとんどの方が最後は完全にステロイド軟膏はやめられています。
●すんなりステロイド軟膏が減らしていけるでしょうか?
アトピー性皮膚炎のアトピーはギリシャ語で「不思議な」という意味です。
しっかり漢方薬を飲んでいても、睡眠や食事がきちんと出来なかったり、
くよくよ心配ばかりしていると治す力が発揮できず、治りが悪くなります。
一直線に治っていくのではなく、波型に治っていきます。
慣れてくると真っ赤な顔になっても「大波ね」と笑いながら来店されたお嬢さんもいます。
痒みを抑えるためにステロイド剤ほど効果のある薬は多くはありません。
無理をしないで我慢できない時はステロイド軟膏を使いましょう。
皮膚が丈夫になっていくと痒みも軽くなり、いつの間にかステロイド軟膏を使う場所が減っている自分に驚くことでしょう。
●気を付けること
ステロイド軟膏が七日に1回くらいになると、中には痒くなっても我慢して塗るのをやめてしまう人がいます。
痒くなる、ということはまだアトピー性皮膚炎が治っていない、ということです。
最近の皮膚科学会の標準治療法は「痒みが納まってもステロイド軟膏はすぐにはやめない。
一か月に1回くらい使っていた方がよい」という見解です。
それくらいの使用頻度では副作用はほとんど出ません。
我慢して使わないでいると治っていないのでまた悪化することがあります。
でも大丈夫。漢方を飲んでいると免疫力がついて悪化しなくなるのです。
そこが漢方を飲むのと飲まない人の違いです。
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脱ステをしても更に悪化。漢方でやっと落ち着きました。
温泉旅館に住み込みで働きに行っていた「アトピーの娘」を
心配していたところ、「実家」に1カ月ぶりに帰ってきました。
そして、お店に来てくださいました。
店のスタッフたちの 「うわー お帰りなさい」
というにぎやかな声に驚いて店の入り口に行ってみると、
以前からアトピーの漢方相談に見えていたA子さんが
満面の笑みで立っていました。
アトピーがひどく、2年ほど当薬局にかかり、漢方薬でようやく軽快し、
親から自立したい、と言っていましたが、
就職先に選んだのがはるか遠い、東北の温泉宿でした。
そこの温泉がアトピーによく、就職すればただで毎日入れる、と言うので、
そこに住み込みで就職したというのです。
彼女の発想に頭が下がる思いでした。
きつそうな仕事に私もスタッフも心配しましたが、
やりこなしたようで、元気な顔でお店に来てくれて、ほっとしました。
実家に帰ってきた自分の娘を迎えたような気分でした。
2017.1.7
20年近くステロイドを使っていて、1年前脱ステロイドをし、
1年間リバウンドで汁が出ていました。
皮膚も慢性化してごわごわで、不眠がひどく、爪が伸びなくなってしまいました。
むくみもひどく写真のような足のしわがひどかったのが、しだいに消えてきました。
他の肌のほうに水分がいくようになったのか、他の肌が潤ってきました。
長い間アトピーで悩んでいましたが、今は元気になって働いているのが、
私としてはなによりうれしく思っています。
国際中医師 薬剤師 植松 光子