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良い汗と悪い汗
汗には、良い汗と悪い汗があり、汗の種類によって健康状態が分かって面白いですよ。
*悪い汗
冷や汗・寝汗・じとじとでる汗・自然発汗・出ない汗・熱中症の汗
*冷や汗は緊張や、失敗したときの精神的な汗。
*寝汗は夜寝ている間に長期に渡って出る汗です。
中医学では「盗汗」と言って栄養を盗むので汗をかいた朝は、ぐったり疲れていることが多いです。
結核や体力のない人に多く出ます。
陰虚(いんきょ)といいます。知柏壮健丸や杞菊地黄丸をおすすめします。
*じとじとでる汗は「自然発汗」「自汗」と言って、毛穴が開いて閉じない状態で風邪をひきやすく、
体力の弱い人に多く出ます。「衛益顆粒」などをおすすめします。
*出ない汗
気温や体が熱くても出ない人がいます。とても気持ちが悪いものです。
その分皮膚や顔が赤く熱がこもり乾燥します。
アトピーの人に多く見られ、漢方薬を飲んでよくなってくると、自然に汗が出るようになり
「家じゅうで万歳をした」とメールをくださった方もいました。
*熱中症の汗
脱汗といい、玉のような汗が噴き出て体中の細胞の水分が減り、
電解質のバランスが崩れ危険な状態の汗です。
*良い汗
体温調節の汗 ・ 運動ででる汗
*体温調節の汗・・・これは健康な汗です。
本来体の体温が高ければ汗を出して調節し、寒ければ毛穴を閉じて、
寒さが入らないようにするのが正常です。
*運動で出る汗。
これも健康的な汗です。体の隅々まで血流が流れ、デトックスしてくれるので、
毎日何らかの形でうっすらと汗をかくときれいな弾力のある、血色のよい美肌でいられます。
速足の通勤、エレベーターを使わない、ヨガ、太極拳など。
文責:植松光子 薬剤師 中国政府認定国際中医師
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アトピーにサウナっていいの?
アトピーにサウナっていいの?
「体を温めて汗をだしてデドックスに良さそうだ、サウナに入ってもいいですか?」
とアトピーのかたからよく聞かれます。
答えはNOです。かえって悪化することが多いです。
体の外からサウナで急激に暖め、焼くような熱さは皮膚に刺激を与え、悪化する人が多くいます。
しかし、運動して体の中から出す汗はデドックスになります。
アトピーがひどい時は汗がしみて痒くなる場合があるので、アトピーが軽くなったら運動するのがオススメです。
運動をして汗をかくと、肌は丈夫になり、アトピーがよくなることが多いです。
学生時代に、運動で汗をかいていた時は、アトピーが軽かった、と言われる方は多いのですがその通りです。
運動で汗をかくと、かき傷が多い人は、一時的にはしみてかゆくなります。
その時は濡れたタオルで軽く汗をぬぐうか、ジネンミストなど持っていて振りかけるとよいです。
漢方薬を飲んで皮膚が丈夫になってくるとしみなくなるので、それもアトピーが良くなった目安です。
※ジネンミストは当店でとりあつかっております。お気軽に声をかけてください。
国際中医師 薬剤師 植松 光子
写真「タンポポ(アトピーの赤いときに用いるのはタンポポの根):森林公園で撮影」
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カビとアトピー
~中医学では300年前にすでに注目~
『人間の汗に含まれる物質を分析したところ、かゆみを引き起こす物質「ヒスタミン」が放出される際、
カビの一種の「マラセチアグロボナーゼ」が作り出すたんぱく質が炎症にかかわっていたことが分かった。
このカビは健康な人間の皮膚にも存在し、作り出されたタンパク質はごく微量でもアレルギー反応を引き起こす』
と広島大学大学院の研究グループ(秀道広教授)による成果が発表されました。
6月6日付 朝日新聞_____
汗をかくとカビが繁殖します。
確かに毎日多くのアトピーの人たちの相談を受けていますと、汗をかく梅雨時から夏悪化する人が多く見られます。
また場所もひじの内側やひざの裏、顎、わきの下などに多く発症します。
中には学生や事務職の会社員で座る時間が長い人でお尻が真っ赤にかゆくなったり、と汗をかく場所に多くアトピーが発症しています。
面白いことに中医学ではアトピーのことを中国語で「四弯風(しわんふう)」と言います。
これは「四つの弯曲したところのかゆみ」という意味です。
すなわち両肘の内側と両膝の内側の4か所です。
この「四弯風」は1665年に書かれた中医学の医学書「外科大成」にその名前が載っています。
すでにアトピーの特徴が認識されていたというのは驚きです。
そしてアトピーのかゆみ、赤みなどの症状を軽くする生薬にカビなどの殺虫効果のある生薬が用いられています。
苦参(くじん)は名前の通りとても苦く、飲んだり、外用に用います。
生薬を煎じてその汁をかゆいところにかけます。
抗真菌作用と抗トリコモナス作用が認められていますので女性の陰部のかゆみにもとても効果があります。
外用に使う場合は副作用がありません。内服の場合は苦いので胃腸に気を付けます。
白鮮皮(はくせんぴ)も抗真菌作用があり白癬菌を抑制します。
これらの生薬は「カビが原因」とニュースで発表されるずっと前から、中医学ではアトピーのかゆみによいと用いられてきました。
そしてこれらの配合された漢方入浴剤もあります。汗によるかゆみや水虫にも、よく家じゅうで入れます。
例
男子の大学生でアトピーがあり、特にお尻がかゆい、と来店されました。
真っ赤になって汁もでていて、電車の中や、授業中椅子に座っていてもかゆくてじっとしていられないとのことでした。
カビとあせのかゆみに効く漢方薬を飲んでいただきました。
家でも試験勉強で座っていることが多いので、蒸れて治りにくいので、
なるべく家では風通しのよいショートパンツですごしてもらうよう話しました。
辛いものやお酒は体を熱くしますのでキムチやビールなど避けてもらいました。
漢方薬の内服と漢方の入浴剤、漢方のかゆみ止めのスプレーを使い、
時間がかかりましたがすっかりよくなり、喜ばれました。
文責 薬剤師 国際中医師 ウエマツ薬局 植松光子