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手術、化学療法にも中医学の力を発揮。
先日、中医腫瘍ケア専門講座が開催されました。
病院のお医者さんの講演で、
「手術不能な肺がんについて、中医治療のみで癌を消失。」
「西洋医学と中医治療を並行することにより、
患者の生活の質を改善、長期延命が可能となった。」
など、中医学の力を確信する事例が発表されました。
手術や化学療法、放射線治療などと、中医学の併用、
さらには中医だけの治療例など、
中医学はますます、力を発揮しています。
抗がん剤の副作用による吐き気・嘔吐・食欲不振などを
漢方薬によって改善できることは、
患者さんの生活の質をぐっと上げることにつながります。
それどころか、中医治療を事前に行うことで、
抗がん剤の治療を行いやすくすること、そして効果を高めることができる。
余命数ヶ月を、5年、7年、10年と延命させることができるかもしれない。
日本人の2人に1人ががんにかかり、3人に1人ががんで死亡しています
早くいろんな方に知っていただき、癌だけではなく、
病気の際は中医学を治療に役立ててほしいです。
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かおりんの養生茶Laboウラ話②
薬剤師の飯沼です。
相変わらず暑い日が続きますが、暦の上では立秋が過ぎました。
今年の残暑は厳しそうですね。
今月の中医営養薬膳学講座はお休みですが、今回はまた養生茶Laboのお話をしようと思います。
このコーナーでは、季節に合わせた養生茶を作成し、
皆さんに試飲していただいています。
お茶の配合は昨年私が通った、日本中医食養学会の
中医薬膳茶師講座のテキストなどを参考にして試行錯誤し、
考えたものです。
それぞれの季節に合った養生茶を目指しているのですが、
普段楽しむお茶として飲みやすさ、香りの良さ、色などの見た目などを
楽しめることも大事なポイントとしています。
また、漢方薬局ならではの、生薬の特徴を生かしたお茶なので、
それぞれのお茶の材料となる生薬を実際に触れて、
時にはそのままかじったり、においをかいだりと
じっくり観察していただけるのも養生茶Laboの特徴です。
毎回受講生の皆様に養生茶の点数をつけていただいているので、
最終的にどの養生茶が人気だったかもいずれご報告できたらと思います。
さてウエマツ薬局も8/11から5日間夏季休業となります。
お盆休みにお出かけする方はぜひ楽しい夏の思い出を作ってくださいね。
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「七夕と中医学」
薬剤師の飯沼です。
長引いた梅雨が明け、連日暑い日が続きますね。
夏祭りや花火大会などが、沢山開催される季節になりました。
さて、写真は私が子供のころからよく行っていた、
埼玉県狭山市の七夕祭りの飾りです。
七夕というと7月7日ですが、実は旧暦の初秋の行事、
今年だと8/7がちょうどその日です。そのため季節感にあわせ、
ひと月遅れで七夕祭りがおこなわれる場所が多いですね。
中国から伝わってきた行事で、実は中医学とも様々な共通点や関わりがあります。
例えば、カラフルな短冊は実は五行説にあてはめた5色(青、赤、黄、白、黒)が由来です。
そして写真にもある、くす玉は元々、薬玉と書き、
麝香や沈香、丁子、白檀などの生薬を包んだ袋をいれ、
香りを楽しむとともに邪気を払うために作ったものだそうです。
歌でもおなじみのササの葉も、暑さで体にこもった
熱と湿気を体の外に出し、心落ちつかせる夏の時期にぴったりの生薬、
先月の中医営養薬膳講座で紹介した夏の養生茶にも活用しています。
ちなみに技芸の上達を祈る祭りがもととなっているため、
御利益のある願い事は芸事であるとのこと。
今年は願い事をしてなかったという方も
実はまだ間に合いますので8/7までに考えてみてはいかがでしょうか。
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孫悟空のように雲に乗って空を飛ぶ、がごとし
中医学を学んでいると古典の文章が一杯出てきます。
漢詩を読んでいるような韻を踏んだ文章や、なるほどと思う文章。
医学を学びながら実際は東洋哲学の世界で遊んでいるような気がします。
そんな中医学を教えて下さっている、中国の中医師(漢方専門医)のお一人にA先生
がいらっしゃいます。
私は20年以上毎月講義を聞いたり、北京にある先生のクリニックに
研修に行ったりしています。
お父様は漢方の人間国宝で今99歳、現役の医師で、昨年は万里の長城に上られています。
そのA先生が中学生の時に文化大革命がはじまりました。
医師は知識階級なので迫害され、本は焼かれ、ノートも焼かれ、
先生は中医学の勉強をすべてお父さんから口頭で教えていただいたそうです。
ノートはないのですべて頭に叩き込み、掌に書いて暗記したそうです。
夏は汗で消えてしまい、冬は凍えて手はかじかんだそうです。
自分の将来はどうなるだろう、と目の前が真っ暗になる思いだった、
とおっしゃっていました。
本もない、ノートも取れない、という状況で、すべて頭の中に叩き込んだので、
今講義の中で先生は、ほとんどすらすらと古典の長い文章が出てきて、
達筆な文字で白板に書いて下さいます。
中国でも日本でもこのような先生は数少ないでしょう。
先生の講義を聞いていると、
孫悟空が白雲に乗って空を飛んでいるような気分がしてきます。
大変なご苦労の後、日本人のために、私たちに中国の宝、中医学を
教えて下さっている中国の先生方には心より感謝申し上げるしかありません。
写真は中医食養学会大会で。
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日本で活躍している中国漢方医の物語
今、日本で漢方、正しくは中医学を正しく普及させてきたのが、
日本にいる中国の漢方医である中医師たちです。
その中医師たちの多くは、文化大革命を経験した年代です。
1966年(昭和41年)から約10年間続きました。
日本人には想像もつかない過酷な運命を背負って、
今、日本で活躍し、日本の人達の健康向上に貢献して下さっています。
私が、少しですが聞きかじったことを、これから数回に分けて書いていきたいと思います。
文化大革命、正しくはプロレタリア文化大革命と言いますが、
これは資産家、医師など知識人は人民の敵であり、排除すべきで、
労働者が第一、という毛沢東の思想のもとで行われた革命です。
その知識人たちは、その生まれそのものも非難され、糾弾され農村に下放されました。
今、日本にいる50代60代の人たちの親は仕事を剥脱され、
農村に送られ慣れない農業などをやらされ、
その子供たちも、一番の子は最下位に落とされたそうです。
私が中国語を教わった東大の留学生、Aさんもそんな一人です。
姓を聞けば気づくかたもいると思いますが、清朝末期の貴族の出身です。
両親は糾弾されて生死不明となり、12歳の彼女が6歳の弟を育てたそうです。
信じられない話ですが、彼女の話では病院の院長は職を解かれ、
運転手となり、運転手が労働階級だからと優遇され、
病院の医師待遇になり、手術を任された。
当然出来ないので、元院長が窓の外から手術を指示していた、ということです。
彼女の弟は小学校の入学式の前日、皆が着ていく入学式用の白いシャツがなく、
入学式に行くのは嫌だ、というので、12歳の彼女が徹夜をして縫って、明け方仕上げました。
弟に着せようと起こしに行くと部屋にいません。
探しに行くと弟は外で遊んでいました。
自分には白いシャツがないから入学式にはいかない、
と泣きながら言うので
「お姉ちゃんが縫ってあげた。」と渡すと大喜びした、という話をしてくれました。
中国と日本は、政治的にギクシャクしていますが、
個人的に私が知っている中国の方は温厚でいい方ばかりです。
人の話もよく聞いて下さいます。
日本は中国から多くの文化を学んできました。
中医学もその一つです。
これからの高齢化社会に向けて中医学の知恵は大いに役立ちます。