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理解されにくい月経痛、月経の悩み(3)
副題:月経時の激しい運動、プールでの冷えは月経痛、子宮内膜症の原因になるかもしれません。
冷え→月経痛→子宮内膜症→不妊症の遠因
月経時、水泳などで冷えると血流が滞り、様々な病気の元となります。
子宮内膜症もその一つです。
子宮内膜症の人は月経の時に大きな血塊が出ることがあります。
この血塊が瘀血(おけつ)です。
また、冷えないようにする、氷水や冷たいものを飲まないというのも常識です。
子宮内膜症の痛みは冷えからも引き起こされます。
子宮が冷えると血流が悪くなり、酵素の働きが低下するので、子宮内膜が月経の際にスムーズにはがれず、深い傷を作る原因になります。
細胞が深く傷つけば出血も多くなり過多月経となります。
その出血を止めようと子宮はさらに収縮力を強めます。
それが月経痛の原因です。
以上からも分かるように月経の際、プールに入ったり、冷たいコンクリートの床に座ることは月経痛の原因となり、子宮内膜症の引き金になりかねません。
さらに不妊症の遠因ともなるでしょう。
月経は女性特有でありますが、痛みや量の多少は女性同士でも他人のことはわかりません。
ましてや男性にとってはよくわからない領域です。
また「月経のことを口にするのは恥ずかしい」という心理が働きます。
月経で体育の授業を休みたい、と伝えることも遠慮しがちです。
そこで今私にできること。
一つはツイッターで月経について多くのことをつぶやき、啓蒙していくこと。
もう一つは学校薬剤師の先生方にお願いしたいことがございます。
多くの女子生徒が月経痛や月経の量が多く不安な思いで通学していること、
男子生徒にも月経のことを理解してもらうことなどを、担当校の先生方や生徒に話をしていただきたいのです。
どうぞよろしくお願い致します。
川越市薬剤師会広報紙「やげん」令和4年6月 投稿
投稿 薬剤師 国際中医師 植松光子
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理解されにくい月経痛、月経の悩み(2)
副題:月経時の激しい運動、プールでの冷えは月経痛、子宮内膜症の原因になるかもしれません。
●逆流の原因
それではその逆流とはどのようにおきるのでしょうか?
これに関して定説はありませんが、月経の時の激しい運動も引き金になるのではないか?という説があり、植松がツイッターに載せたところ、大きな反響がありました。
その多くは
★体育の授業の水泳の時間に、コンクリートの床に座って見学をさせられ、冷えて月経痛がひどくなった。
★水泳の授業を休むことを許可されず、タンポンを付けて水泳をさせられた。
★水泳を休む代わりに運動場を10周走らされた等々。
★また高校のクラブは名高い強豪校だったが、当時の部員の半数は不妊症で、当時のメンバーが集まると監督を恨む発言が出る。
★体育の授業を休みたかったが、男性の先生なので言い出しにくかった。
などのコメントが多く寄せられました。
体育の授業のことだけでなく、通常の学校生活、部活の上で不満に思っていることが数多く述べられ、いかに多くの女性が辛い思いを抱えているか、改めて考えさせられました。
また「中高生女子における月経痛の程度」NHK首都圏ナビ
(日本子宮内膜症啓発会議、平成28年度スポーツ庁委託事業「子供の体力向上課題プロジェクトより引用)
によると、月経痛があると答えた生徒のうち
勉強・体育が辛い15%、
鎮痛剤を飲んで我慢している35%。
実に半数以上が日常生活に支障をきたしています。
これらは月経困難症と呼ばれ、子宮内膜症などの病気の原因になっている可能性があるといいます。
●月経痛のある女子の子宮内膜症発症率は2.6倍
海外の研究では、月経痛のある女性が将来子宮内膜症を発症する確率は、月経痛のない女性の2.6倍である、という報告があります。
●漢方の考え
漢方の考え方は女性の月経期間の体をとても大事にします。
特に初潮から1,2年、水泳は絶対によくありません。
月経時は血液が減ることで冷えや寒さが侵入し、さらに水泳で冷えて、寒さが深くとどまると、血の循環を悪くさせて血流が滞ります。
そして瘀血(おけつ)の状態になると、様々な病気の元となります。
(注;瘀血とは中医学用語 鬱血や血行障害などで血の流れの滞り、またはそれによって起きる様々な症状や疾病を指す言葉)
子宮内膜症もその一つです。続きは次回
川越市薬剤師会広報紙「やげん」令和4年6月 投稿
投稿 薬剤師 国際中医師 植松光子
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理解されにくい月経痛、月経の悩み(1)
副題:月経時の激しい運動、プールでの冷えは月経痛、子宮内膜症の原因になるかもしれません。
●子宮内膜症の原因は月経血の逆流?
今、多くの女性を悩ませている子宮内膜症。
激しい痛みを伴い、社会生活などQOLの低下を招き、不妊症の原因にもなっています。
子宮内膜症の原因の一つに「逆流説」があります。
月経血の大部分は、膣を通じて体外に排出されますが、一部は卵管を通じてお腹の中(骨盤内)に逆流します。
月経血中に存在する剥脱した子宮内膜組織や細胞が、この逆流月経血とともに、骨盤内の臓器や組織に付着し育つことで、子宮内膜症になるといわれています。
これを月経逆流説と言い、現在の最も有力な内膜症の原因仮説です。
(以上日本内分泌学会 HPより)
卵巣内で発生し、古い血液が溜まればチョコレート嚢胞となり、出所のない月経血は激しい痛みを引き起こし、がん化することもあります。
また肺の周り尿管、腸管などに付着すれば、それぞれ月経期間に血痰、血尿、血便を起こすことが知られてきました。
注;「月経」は医学用語です。今は「生理」と表記するのが一般的です。
それではその逆流とはどのようにおきるのでしょうか?
続きは次回にて。
川越市薬剤師会 広報紙「やげん」令和4年6月 投稿より
投稿 薬剤師 国際中医師 植松光子
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更年期に良い食べ物と漢方
更年期に出やすい症状は精神的症状です。
肝が高ぶる、という言葉に表されるように「肝」と関係があり、イライラ、のぼせやすい、ドキドキするなどです。
更年期を上手に乗り切るためには「肝」の働きを調節する漢方や食べ物が大事です。
さらに「心」は血流を良くし、睡眠をよくする働きがあるので、「心」の働きが落ちると、不眠や目が覚めやすい、記憶力が落ちる、憂うつなどの症状が関係します。
また「腎」も関係してきます。「腎精」と言ってホルモン系や足腰の骨、脳の働きなど老化と関係のある臓器です。
以上「肝・心・腎」の働きが少しずつ衰えてきて、個人差がありますが様々な症状が出て来るのです。
そんな時期に手助けしてくれるのがナツメ・スッポン・蓮の実などです。
●心の症状を安定させるものは精白していない小麦・ゆり根・蓮の実(蓮子)があり、漢方生薬として用いられ効果が出ています。
●例えば、甘麦大棗湯には蜂蜜で炒めた甘草・小麦・ナツメが配合されています。
とても甘くて、飲むとホッと心が落ち着きます。とくに煎じ薬はおいしいです。
夜泣きの赤ちゃんや子育てに疲れたお母さんが二人で飲んで良くなった例もあります。
甘いものは心を緩やかにする働きがありますものね。
●小麦は精白していないものが漢方生薬として用いられるのは驚きです。
こんな物にも心を落ち着かせる働きがあるのです。
ですからパンを買うときには精製してないパンを買いたいですね。
●慢性の膀胱炎に用いる清心連子飲の蓮子は蓮の実です。甘納豆になっています。
●ナツメは鉄分と葉酸が多く、不眠やイライラにもよく、女性や妊娠希望の方、妊産婦の方の必需品です。
甘くておいしい蜜棗や砂糖を使っていない「健康なつめ」がウエマツ薬局オンラインショップや店内で売られています。
効果を出すには毎日とることがポイントです。
お米と一緒に炊き込むと美味しく簡単です。
作り方:お米を研いで1合につき3個くらいポンポンと入れて塩、酒不要、普通に炊く。
お茶碗一杯につき1個くらい入り、ご飯の艶が良くなり、香りもよく家族皆さんで食べられます。
飽きないので植松は毎日ずっと頂いています。
●ゆり根はユリ科のユリの球根の鱗茎です。お正月に出てきますね。
甘くてほっこりしています。きんとんにしたり甘く煮てそのまま、おせち料理に出したりします。
●ゆり根は潤す働きと心を落ち着かせる働きがあるので、乾燥肌の赤ちゃんにお茶として飲ませていくと喜んで飲んで半年くらいでしっとりしてきます。
かゆみによるイライラにも良いのでしょう。(写真は我が家のカサブランカ)
●「立てば芍薬、座れば牡丹、歩く姿は百合の花」という言葉は美人のことを形容しているといわれています。
これらすべては女性に使われる漢方生薬です。
生理痛や子宮筋腫、子宮内膜症やヒステリーなどに使います。
ですから私は密かに女性を美しくする三種の神器と思っています。
文責:植松光子 薬剤師 中国政府認定国際中医師
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50歳から”きれい”と元気を保つ漢方
1:閉経を漢方的に考えると・・・
そろそろ閉経という場合、一般的には生理の量は減ってきます。
生理の周期が短くなる方も多いようです。
女性に大事なのは「肝」と「血」です。
「肝」は血を貯蔵し、気血の流れを調節します。
「血」は心身に栄養と潤いを与え、「精」すなわちホルモンを運び整えます。
女性の体は7年で変化します。
2000年前の漢方の養生書の黄帝内経(こうていだいけい)には7×7 49歳で閉経が近づき終わり、と書いてあります。
2000年前はそこで人生は終わったのです。
鮭が卵を産み終えたら命が尽きるように、女性も寿命が終わったのです。
怒らないでくださいね。
でも現代はそこから新しい人生が始まるのです。
2:生理がなくなるとは・・・
生理がなくなる、ということは女性ホルモンがほとんど尽きたということです。
閉経して3年後の日本人女性のコレステロール値は、統計によると平均22上がるそうです。
高血圧、高コレステロール血症、糖尿病などの生活習慣病は40代の男性には見られますが、女性にはほとんど見られないのは女性ホルモンが健康を守ってくれているからです。
閉経すると、そういった女性ホルモンが守ってくれなくなります。
3:閉経後に出やすい症状
女性の美しさ、健康を守ってくれる女性ホルモンが減ると
美容:しわ、しみ、抜け毛、髪の毛の乾燥など
健康:疲れ、めまい、頭痛、肩こり、膝や腰の痛み、血圧の上昇など
心:くよくよする、眠れない、早く眼が覚める
自律神経:カーっとのぼせる、ひえのぼせ、汗が多くハンカチが手放せない、夏でも足首が冷える、便秘と下痢の繰り返しなど
運動機能:膝・腰の痛みなど
眼・耳・鼻・口:目が疲れる、目が乾く、耳鳴り、舌が痛む・
など、あげればきりがありません。
4:未病は漢方と養生で治そう
このように病気まで行かなくても体調がすぐれない状態を漢方、中医学では未病(みびょう)と言います。
しかし、この段階で食養生をして、早く寝て、漢方薬のお茶や漢方薬を飲めば元の健康な体に戻る可能性があります。
漢方薬はこの段階が良く効き目を発するので漢方の専門家に相談されると人生が明るくなります。
以上、述べましたようにプチ更年期の40歳ごろから始まった体調の変化は、50歳を過ぎますとさらに症状が強くなり、がっかりするかもしれません。
5:元気で楽しい50代
しかし実際は、50代は生理がなくなると出血によるエネルギーの損失や煩わしさから解放され、気分的にはのびのびとした年代です。
体力はまだあり、肌や髪の毛もつやがある。
子供たちは成長し、自分の時間を取れるようになってきた。
夫は仕事が充実している。両親はまだ元気。
女性自身の自分の仕事は長年のキャリアが行かせて充実している。
貯金も貯まってきた。など、良いこともあるのではないかしら?
新しい趣味を探すのもいいですね。
体調を整えて十分毎日を楽しみましょう。
文責:植松光子 薬剤師 中国政府認定国際中医師(日本人女性で初めて)