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秋・冬のアトピー対策:漢方・食事・養生
朝日新聞Webガイド 「信頼できる専門家が探せるマイベストプロ」
ウエマツ薬局のコラムに掲載致しました。
目次
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夏のアトピー性皮膚炎や皮膚トラブルの原因と対策
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ウエマツ薬局のコラムに掲載致しました。
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漢方で生理過多の方のアトピー改善
アトピー体質の人がアトピーを発症する原因は、人により違います。
その人のアトピーになった原因を治すと肌は艶々して中から白くきれいになっていきます。
40代のAさんの原因は月経過多、生理の量が多すぎて長年貧血だったことです。
病院の鉄剤を飲んで貧血の症状そのものは軽くなっても、乾燥肌とアトピーは軽減されませんでした。
血液は赤血球や白血球などの固形成分が45%、血漿という黄色い液体成分が55%で出来ています。
生理の量が多いと水分が出て行ってしまうということと、皮膚に栄養を与え、潤す働きをもつ赤血球も失われてしまうことになります。
その結果、乾燥肌と顔色の悪さ、黒っぽい肌になってしまいます。
乾燥しているので肌は敏感でちょっとした刺激で突然真っ赤になり、なかなか治りませんでした。
しかし、根気よく体質と症状にあった漢方の煎じ薬とシロップを飲み続けました。
昨日お会いした時には肌が白く艶が出て、とても美しくなっていました。
赤かった皮膚も目立たなくなっていました。
ご本人もうれしそうでしたが、私も心から嬉しく、私の中医学が役立ってよかった、とつくづく思えた一日でした。
国際中医師 薬剤師 植松光子
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アトピー性皮膚炎:再発を防ぐには
●漢方を飲めば再発しませんか?
絶対再発しない、とは言い切れません。
しかし創業41年のウエマツ薬局において植松光子の経験では10年以上再発していなく
漢方のクリームだけお買いに見えている患者さんは多くいらっしゃいます。
その経験から「アトピーは中医学と薬膳で治す」<二見書房>を2005年に出版しました。
それから17年経ちますが、いまだにその本を本屋さんや図書館などで読んで
全国から多く来店されています。
症状が改善され、胃腸など弱い体質を治す漢方薬を気長に少しずつ飲んでいる方はほとんど再発しません。
しかし少し良くなっただけで漢方を飲むのをやめてしまった方は数年経ちますと
また悪化して来店されます。
しかし二度目は短期間で改善されるので、喜ばれます。
多分漢方で治す力が出てきていたと、思われます。
●どうして再発するのでしょうか?
悪化の原因は甘いもの、揚げ物、辛い物の食べ過ぎ、飲み過ぎ、早食い、遅寝と睡眠不足、
環境の変化・・就職、転居など。
ストレス・・失恋、離婚、退職、人間関係など
様々な要因で悪化します。それが単なる痒みと違い、「不思議な」病気と言われるゆえんです。
●再発を防ぐにはどうしたらよいでしょうか?
ウエマツ薬局で再発して真っ赤な顔で来店された方に
「どうしたの!?」とお聞きしますと、ほとんどの方がご自分で原因がわかっています。
それは漢方相談でいらしていた間に私が繰り返しお話ししてきたからです。
しかし人間は弱いものです。
「よくなったのでお菓子を3日間食べまくっちゃいました」
「ビールをいっぱい飲んじゃいました」
アトピーが「不思議な」病気、と言われるゆえんです。
窮屈だと思っていた養生、食事、睡眠、心の持ち方などいつの間にか習慣となって身についてくると
再発しなくなり、心も、体も丈夫になってくるのです。
●アトピーは一生治らないのでしょうか?
その答えは例えてみると、風邪を引きやすく風邪薬ばかり飲んでいた人が、
食事、睡眠、運動と気を付けていけば風邪を引かなくなります。
気が緩んで不養生になればまた風邪ばかり引くようになることもあります。
この例えとアトピー性皮膚炎は同じだと考えてよい、と思います。
●不養生とはどういうことですか?
寝不足、遅寝、食べ過ぎ、飲み過ぎ、甘いお菓子やスナック菓子の食べ過ぎ、
冷たいものの摂り過ぎで免疫力が落ちることです。
私が中国で研修を受けた漢方の皮膚科の名医は
「美味しいものは全部だめ」と患者さんに教えていました。
写真:広州皮膚科研修風景 漢方人間国宝 禤国維教授
後ろは研修中の筆者 植松光子養生はとても大事な要素です。
しかし養生だけでは足りない人は漢方薬の力も借りてもいいでしょう。
●漢方にはどういうものが入っているのですか?
医食同源、薬食同源とも言います。
漢方薬の処方には食べ物も一杯入っていて免疫力をつけるようになっています。
例えば寒気のする風邪の初期に飲む葛根湯には、葛、生姜、ナツメ、シナモンと
漢方薬が配合され、寒気が取れて元気に治るのです。
アトピーの処方にはこもった熱をとるもの、ジクジクした汁や腫れを取るもの、
痒みに効くもの等多くの生薬が配合されてその症状や体質に合わせて用いると
効果が出るようになっています。
●症状はどのように分類されるのですか?
血熱・・・皮膚が真っ赤・熱感・イライラ・便秘・口が渇く・目が充血
湿熱・・・赤く腫れてジクジク・掻くと汁が出る・水疱・便が軟らかで臭い
カサカサして赤い・亀裂がある・・・かゆみはひどい・落屑が多い・冬悪化
慢性化・・・黒ずんでガサガサ・ゴワゴワ・皮溝が見える アミロイド
●アトピー性皮膚炎の体験談
① ステロイドのリバウンドを漢方で克服して
副題:痒みとサヨナラ② 脱ステ後、漢方でアトピーがよくなり、生きるのが楽になりました
副題:生きるのが楽になりました③ 再発をくりかえすアトピーが改善してきました
副題:夜明け~アトピーからの卒業~ -
アトピー性皮膚炎:漢方で痒みをとる方法
●漢方で痒みをとる方法はありますか?
あります。
私が研修で行った中国の病院では、ひどいアトピー患者さんはすぐ入院です。
そして漢方薬の煎じ薬と漢方薬の煎じた汁で全身シップします。
そのあと漢方の軟膏をたっぷり塗ります。漢方煎じ薬のお風呂にも入ります。
大体1週間で退院するそうです。
日本でも漢方生薬の粉末を溶かした汁でシップする方法があります。
●ステロイドと漢方薬の軟膏は併用できますか?
できます。
ステロイド軟膏を塗るのは1日1回か2回です。
漢方のシップや軟膏はそれ以外に1日何回使っても大丈夫です。
ステロイド軟膏でとりあえず痒みをおさえ、漢方の外用薬で皮膚の乾燥をおさえ、
皮膚を丈夫にしていくのは効果的です。
●重ね塗りをするときはどちらが先でしょうか?
急ぐ時重ね塗りをする場合は初めに漢方の軟膏、次にステロイド軟膏を塗った方が安全です。
なぜなら先にステロイド軟膏を塗ってから漢方の軟膏を塗ると
ステロイド軟膏が、アトピーが出ている場所以外に広がり、そこは皮膚が薄くなる恐れがあるからです。
ただし痒みがひどいときは先にステロイド軟膏を塗るのもやむを得ないでしょう。
●ステロイド軟膏と漢方薬の働きはどう違うのですか?
ステロイド軟膏は消防自動車。
アトピー性皮膚炎は炎症、すなわち火がたくさん燃えている状態です。
火が強ければ消防自動車の数はたくさん必要です。
少ないと火は完全に消えません。
ステロイド軟膏も同じです。
その炎症の程度に合った強さのステロイド軟膏を指示通り使って早く症状をおさえましょう。
●漢方の軟膏で皮膚を丈夫に
そのあとしっかりと再発しないよう、漢方薬で皮膚を丈夫にして、再発しないようにしていきます。
アトピーの漢方薬も同じで、症状がひどければたくさんの量の漢方薬、軽ければ少なくなります。
漢方は量と効き目と金額は比例します。
ですから初めは高いこともありますが、よくなっていけば安くなりますから、頑張って早くよくしましょう。
国際中医師 薬剤師 植松光子