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テレビに疑問「アトピーに効く漢方」
「漢方って本当に効くの?」
2014年7月1日にテレビ朝日で放映された「林修の今でしょ!講座」
『東洋医学VS西洋医学 日本人が悩む8つの病気と 症状を解決!3時間SP』は、なかなか面白い番組でした。
「アトピーに漢方は効く!!」このタイトルはぴったり合って、見事に言い切ってくださって拍手!!でした。
しかし、そのあとがいけない。
アトピーには「温清飲(うんせいいん)」ですべてのアトピーがよくなるような言い方は危険です。
アトピーはそんなに簡単な病気ではありません。
特にこの番組を見て多くの医師、薬剤師、患者さんたちが「温清飲」だけをファーストチョイスに使って、逆に悪化するのが心配です。
何故なら「温清飲」は字のとおり、「温めて冷ます」処方ですから、
体に熱がこもって真っ赤な顔や肌をしている人はすぐさらに真っ赤に悪化します。
またじくじく汁が出ている人には全く効きません。
この処方は「四物湯」という血を増やし、血行をよくする、主に女性の冷えや生理痛に効くものと「黄連解毒湯(おうれんげどくとう)」という熱を取って赤み、炎症をとる二つの処方が2対1の割合で入っています。
ですから処方全体としては温めます。
どのような人によいか、といいますと慢性で肌は黒っぽく、汚いがさがさした乾燥肌に適しています。
ちょうど海へ行って真っ赤に日焼けした肌が秋になって薄黒く、乾燥した時の肌を思い浮かべてください。
これと同じで状態です。
真っ赤に日焼けした時はどうしますか?
まず水で冷やしますよね。
このときお湯で温めたらどうなりますか?かえって痛みが増すでしょう。
アトピーも真っ赤な時は冷やす漢方を用います。
じくじくしているときは汁を取る漢方薬を用います。
そうして赤み、汁がなくなり、がさがさした薄黒い肌になった時初めて「温清飲」を用いますと、肌がきれいになってきます。
しかし黄連解毒湯が入っているので長く飲むと乾燥させますので、あかみがおさまってきたら、別の処方に変えていきます。
このようにその時に適した漢方薬を使うことが大事です。
詳しい治し方は拙著「アトピーは中医学と薬膳で治す」<二見書房>に載っています。
アトピーは非常に複雑な病気です。
漢方医や漢方薬剤師でもアトピーを専門にやっている方によく相談してください。
2014年7月31日 薬剤師 中国政府認定国際中医師 植松 光子