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日本で活躍している中国漢方医の物語
今、日本で漢方、正しくは中医学を正しく普及させてきたのが、
日本にいる中国の漢方医である中医師たちです。
その中医師たちの多くは、文化大革命を経験した年代です。
1966年(昭和41年)から約10年間続きました。
日本人には想像もつかない過酷な運命を背負って、
今、日本で活躍し、日本の人達の健康向上に貢献して下さっています。
私が、少しですが聞きかじったことを、これから数回に分けて書いていきたいと思います。
文化大革命、正しくはプロレタリア文化大革命と言いますが、
これは資産家、医師など知識人は人民の敵であり、排除すべきで、
労働者が第一、という毛沢東の思想のもとで行われた革命です。
その知識人たちは、その生まれそのものも非難され、糾弾され農村に下放されました。
今、日本にいる50代60代の人たちの親は仕事を剥脱され、
農村に送られ慣れない農業などをやらされ、
その子供たちも、一番の子は最下位に落とされたそうです。
私が中国語を教わった東大の留学生、Aさんもそんな一人です。
姓を聞けば気づくかたもいると思いますが、清朝末期の貴族の出身です。
両親は糾弾されて生死不明となり、12歳の彼女が6歳の弟を育てたそうです。
信じられない話ですが、彼女の話では病院の院長は職を解かれ、
運転手となり、運転手が労働階級だからと優遇され、
病院の医師待遇になり、手術を任された。
当然出来ないので、元院長が窓の外から手術を指示していた、ということです。
彼女の弟は小学校の入学式の前日、皆が着ていく入学式用の白いシャツがなく、
入学式に行くのは嫌だ、というので、12歳の彼女が徹夜をして縫って、明け方仕上げました。
弟に着せようと起こしに行くと部屋にいません。
探しに行くと弟は外で遊んでいました。
自分には白いシャツがないから入学式にはいかない、
と泣きながら言うので
「お姉ちゃんが縫ってあげた。」と渡すと大喜びした、という話をしてくれました。
中国と日本は、政治的にギクシャクしていますが、
個人的に私が知っている中国の方は温厚でいい方ばかりです。
人の話もよく聞いて下さいます。
日本は中国から多くの文化を学んできました。
中医学もその一つです。
これからの高齢化社会に向けて中医学の知恵は大いに役立ちます。