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ある若い女性薬剤師の物語・10

これは彗星のように輝やきながら飛び去った彼女の人生の軌跡をたどる物語です。

その10、痛みは体の信号

 

中医学では「痛みは体の信号」といいます。

生理痛は一般に生理痛があるとき鎮痛剤を飲めば収まってしまうので、

医療関係者も一般の人もあまり重要視しない傾向にあります。

しかしMの死を通してこんなこともあるのだと多くの人に知ってほしいのです。

痛みには痛みを起こす原因が必ずあります。

決して軽く見ないように。

生理痛でも命を落とすことがあるのです。

あまりの痛みに腫瘍なども疑ったのですが、腫瘍マーカーも正常でした。

 

しかし、なくなってから親しいある医師に

「どうして内科に連れて行かなかったの」と言われ、

婦人科だと思い込んでいた自分のうかつに愕然としました。

 

なにより悔やまれるのはなぜ病院任せにしてしまったのだろうか、と言うことです。

自分が医療の関係者でありながら、

子宮内のことは内診をする医者でなければ部外者にはわからない、

といった思い込みがあったのです。

 

その自責の念からこの文を読んでくださっている方々に伝えたいこと。

それは自分の病気、家族の病気を病院任せにしないことです。

 

おかしいと思ったら、徹底的に調べ、自分で自分の体を守らなければならない。

医療は決して万能ではない。

西洋医学はせいぜい100年の歴史しかないのです。

 

今でも毎日仏前で「ごめんね」と謝り続けています。

またある医療関係者からは

「どうしてもっと詳しい検査をしなかったの」と言われました。

 

これらの言葉はすべて心臓に突き刺さるようでした。

亡くなってから言われても私にはどうすることもできません。

人は残念な気持ちの余り、ついこのような言葉を吐きがちです。

それがどんなに遺族の心を傷つけることか。

私も言われて初めて気づき、自分はこれからは、心してお悔やみをしようと思いました。

* *次回は「その11、母の想い」です。* *